Research Abstract |
雑種成犬42頭を用い, 麻酔後, 右頚静脈から右房へ双極白金電極カテーテルを挿入し, cardiac stimulatorを使用して刺激を加え, 次に同様の操作で, 230/minと410/minの高頻度の心房ペーシングを1時間持続し, その間およびペーシング終了後30分まで経時的に採血し, 血漿cyclic nucleotidesを本間らの方法によりradioimmunoassayで測定した. またYelichらの方法により, 右頚静脈から右房へ刺激用電極カテーテルを挿入し, 心房細動発生閾値(AFT)を測定した. 右房での電気的刺激によって心房細動が誘発された時, 血漿c-GMP濃度は6.8±2.2pmol/mlより9.9±2.3へと有意に増加した. 血漿c-GMPの有意の増加は時間とともに著明となり, 発症90分後には27.8±0.69に達した. 一方, 血漿c-AMPは心房細動の発症前後では有意差をみなかった. 心房ペーシング410/min群では, 血漿c-GMP濃度はペーシング開始15分後に14.7±2.8pmol/mlから19.3±3.1へと有意に増加し, さらに30分, 60分後には22.2±3.4, 34.5±4.5へと著明な増加をみた. ペーシング終了30分後でも有意な増加がひきつづき認められた. 一方, 血漿c-AMP濃度は有意な変動を示さなかった. これに対して230/minで心房ペーシングした群では, いずれもペーシングの影響を受けなかった. Dibutyryl cyclic GMP(Dbc-GMP)の投与により, AFTはdose dependentに有意の低下を示した. 即ちcontrolのAFT(6.0±0.7mA)に対してDbc-GMPを0.6675, 0.125, 0.25, 0.5, 1.0, 2.0mg/kg投与した時のAFTはそれぞれ5.3±0.7, 4.6±0.7, 4.0±0.7, 3.8±0.6mAと低下し, Dbc-GMPの投与により, 心房細動が生じ易くなることが示された. アトロピンの前処置により, AFTは6.0±0.7mAから22.3±1.5へと著しい上昇を示したが, その時1.0mg/kgのDbc-GMPを頚静脈へ投与するとAFTは8.1±1.6mAへと再び低下することを認めた.
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