1988 Fiscal Year Annual Research Report
逆畳み込み積分法による心収縮の同期性の心収縮力に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
62570398
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
砂川 賢二 九州大学, 医学部, 助手 (50163043)
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Keywords | 畳み込み積分 / 収縮同期 / 心収縮力 |
Research Abstract |
ある瞬間の心室の収縮力は、数学的にはその瞬間迄に既に収縮を開始している心筋の弾性率の時間経過と、その瞬間迄に収縮に関与した心筋量をあらわす同期過程の時間経過の広い意味での畳み込み積分(convolution)であらわされるものと思われる。生理的にはこの確率的な同期過程は刺激伝導系の特性を反映し比較的一定の性質を保っているものと思われる。本研究ではこの様な概念の妥当性を検討し実際に心収縮性と同期性と分離評価する事を試みた。 〔時間軸での逆畳み込み積分〕収縮中の犬摘出交叉潅流心を大電力瞬時ペーシングし刺激伝導系を介さずに直接心筋収縮をおこさせた。さまざまな時相の大電力ペーシングで得られた心室の収縮力を比較することにより、数値的に逆畳み込み積分(deconvolution)を行い、生理的な収縮時の同期過程と心筋の収縮特性を評価した。その結果、心収縮の早期に心室の圧発生に関与する心筋は、機械的な興奮時間が長く収縮の立ち上がりからそのピークまでの時間も延長していた。一方心室の収縮の後期に興奮を開始する心筋は興奮時間は全般に短く、興奮の立ち上がりからそのピークまでの時間は短縮していた。 〔周波数軸での逆畳み込み積分〕犬摘出交叉潅流心の心室細動圧波形の周波数解析を行い、そのケプストラから周波数軸での逆畳み込み積分を行った。その結果、算出された心筋の収縮性の時間経過は時間軸の逆畳み込み積分で得られたものに近い単峰性の波形であった。この波形はカテ・コラミンで増加し容積変化では変化せず心筋のエラスタンスの時間経過に近いものと思われた。 〔まとめ〕畳み込み積分の概念を利用することにより心収縮と心筋固有の収縮特性の時間経過と同期性の変化の2つの要因に分離評価することができた。
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[Publications] Suyama,A.: Circulation. 78. 825-830 (1988)
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[Publications] Asou,T.: Trans Am Soc Artif Intern Organs.34. 466-469 (1988)
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[Publications] Anan,T.: J Electrocardiol.
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[Publications] Sagawa,K.: "Cardiac contraction and the pressure-volume relationship" Oxfors press, 480 (1988)