1988 Fiscal Year Annual Research Report
心筋組織に存在するラジカルの同定と電子移動のメカニズム
Project/Area Number |
62570404
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中沢 博江 東海大学, 医学部, 助教授 (20110885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一守 康史 東海大学, 医学部, 助手 (60184636)
沖野 遙 東海大学, 医学部, 教授 (60055689)
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Keywords | 心筋 / Coenzyme Q_<10>アニオンラジカル / 虚血 |
Research Abstract |
1)62年度の研究で心筋内の常在ラジカルがCoenzyme Q_<10>のアニオンラジカルであることが証明できたので63年度はその定量と虚血、再灌流におけるCoenzyme Q_<10>のアニオンラジカル(CoQ_<10>〓)の増減を検討した。CoQ_<10>〓濃度は、非虚血部では8.2±2.8×10^<12>Spins/mg proteinであったが、虚血部では、虚血が90分におよぶと1±1.3×10^<12>Spins/mg proteinに減少した。90分の虚血に再灌流を加えると再灌流直後には虚血部より上昇した(120%)。しかし再灌流20分では非虚血部の96%を示し、再灌流90分で心筋を採取したものでは非虚血部の53%を示した。この減少はNADH蛍光の減弱で判定される心筋の壊死の出現と一致した。(Nakazawa et al.The link between free radicals and myocardial injury.Jap Circulation J 52:1988)。このことは心筋内のCoQ_<10>〓濃度は組織の障害の程度と相関する指標であることを示唆した。 2)雑種成犬を用い、90分閉塞後60分間再灌流実験においてSODとカタラーゼを投与した群と非投与群で左室機能、左室収縮力、虚血部Epicardial ECGのST偏位、さらに左室心筋壊死範囲を測定した。SOD投与群で、壊死範囲が有意に減少したいた。すなわちSODは再灌流障害を減少させ、再灌流障害の一因にラジカルが関与することを示した。またSODとカタラーゼ投与群の心筋のCoQ_<10>〓は非投与群に比較し有意に高く保たれていた。しかしCoQ_<10>ラジカルがスカベンジャーの投与により減少が抑えられたことと酸素由来のラジカルの生成との関連は不明で、CoQ_<10>のラジカルが豊富に存在することが再灌流障害の防御となるかどうかも今後の課題である。またCoQ_<10>のラジカル型が減少した場合ミトコンドリアでの"電子のもれ"を減少させるかいなかは明らかに出来なかった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hiroe Nakazawa,et al.: Circulation. 74. II-433 (1986)
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[Publications] Hiroe Nakazawa,et al.: Circulation. 74. II-261 (1986)
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[Publications] 中沢博江 他: 医学のあゆみ. 142. 752-754 (1987)
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[Publications] Kohji Ichimori,et al.: Circulation. 74. II-199 (1987)
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[Publications] Hiroe Nakazawa,et al.: Jap Circulation J.52. 646-654 (1988)
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[Publications] Hiroe Nakazawa,et al.: Am J Physiology. 255. H213-H215 (1988)
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[Publications] Hiroe Nakazawa,et al.: "Oxygen Radicals in Biology and Medicine" Plenum Press, 345 (1988)
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[Publications] 中沢博江 他: "フリーラジカルの臨床Vol 3" 日本医学館, 134 (1988)