1987 Fiscal Year Annual Research Report
胎児・新生児期における視床下部-下垂体系の発達についての検討
Project/Area Number |
62570413
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
長嶋 完二 群馬大学, 医学部, 助手 (00164418)
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Keywords | 下垂体 / 胎児 / 新生児 / 成長ホルモン / GRF |
Research Abstract |
【目的】胎児・新生児期の末梢血中ホルモン濃度は, 年長児や成人と大きく異なった状態にあり, その機序としてこれらホルモンを分泌調整する視床下部-下垂体系の影響が考えられている. 胎児・新生児にとってのよりよき保育環境が模索される中で, これらの内分泌学的環境の変化を解析することは, 重要なことと思われる. そこで, 新生児期に高値を表す成長ホルモンの分泌を対象とし, GRFに対する新生児期下垂体の反応性を検討することとした. 【方法】ラット下垂体潅流系を作成し, 新生児期下垂体のGRF投与に対するGHの分泌反応性をみた. GHの測定はRA法にて行った. ラットは日令1.3.16.8.16.25.31.44.60.100(各N-4)を用いた. 【結果】潅流液中のGH濃度は, 前値対する上昇率(%)にて検討した. 最大上昇率は, 日令1では390±80と成熟ラット(オス)の510±25なのに比べ大きな差は見られなかったが, 日令3では1430±260と著明に高値を示した. その後日令8では960±340, 日令16では430±85と次第に低下が見られ, 成熟ラットと同様の反応を示した. また, 日令44以後では明かな雌雄差が見られるようになり, メスでは, GRFに対するGHの反応はオスの60-70%に低下していた. 【考案】今回の検討で, 新生児期の下垂体は, 出生後に大きく変化し, GRFに対する反応性が高くなることが明らかにされた. この結果は, in vivoにおける結果と同様であり, 新生児期の血中GH濃度が高値を示すのは下垂体外の因子によってでなく, 下垂体自身のGRFに対する反応性が変化するものと思われる. 今後この反応性の差を生じさせる内的因子についての検討が必要と思われた.
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