1988 Fiscal Year Annual Research Report
マス,スクリーニングで呼び出された新生児クレチン症とその関連疾患の病態解明
Project/Area Number |
62570424
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野瀬 宰 大阪大学, 医学部小児科, 講師 (40028600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 和典 大阪大学, 医学部小児科, 医員
木村 三郎 大阪大学, 医学部小児科, 助手 (80195362)
小川 實 大阪大学, 医学部小児科, 助手 (80144484)
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Keywords | マススクリーニング / 一過性甲状腺機能低下症 / 一過性高TSH血症 / ヨード / T_3負荷テスト / TSH抑制試験 |
Research Abstract |
現在クレチン症マススクリーニングが広く全国的に行なわれており多くの患者が早期に発見されているが、その中に原因のよくわからない一過性甲状腺機能低下症や、一過性高TSH血症などがある。これらの原因の一つとしてヨードの影響が云われており我々は新生児期のヨード代謝を調べた。(1)まず正常新生児の尿中ヨード排泄を調べた。その結果人工栄養児では平均8.6±2.6μmol/lであったが、母乳栄養児では平均16.4±11.5μmol/lとばらつきが大きく人工栄養児より高い値を示した。 (2)次いでマススクリーニングでTSH高値が指摘され、精査目的で呼び出された新生児について尿中ヨード濃度を測定した所 異所性クレチン症と診断された3例と、正常と判定された3例の尿中ヨード濃度は正常児と差はなかった。一方妊婦中に胎児造影の既応をもつ2例は57.2,675.4μmol/lと高値を示した。これら2例は共に一過性甲状腺機能低下症を示したが、造影剤中のヨードが生後2カ月たった時期でも新生児の体内に多量に残存している事がわかった。一方一過性高TSH血症はその病因の一部に下垂体のT_3(又はT_4)に対するNegative Feedback機構の未熟性が考えられている。そこで我々は50μg/m^2のT_3(商品名チロナミン)を経口負荷して、高感度TSH測定法を用いて負荷後のTSHの抑制状況を見た。(1)まず健常成人に75μgのチロナミンを1回経口投与し、投与当日、翌日、2日目、4日目の血中TSH値を見た所、投与1〜2日後に最底値を示し4日目にはほとんどの例が前値に復帰していた。このことにより、本負荷試験は健常者における下垂体フィードバック機構の異常検出に応用出来ると思われ、今後一過性高TSH血症、持続性高TSH血症、三次性甲状腺機能低下症、の下垂体TSH分泌機能の解明に有用な方法と思われるのでは今後これらの症例に本負荷テストを施行していきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 三木和典: ホルモンと臨床. 35. 329-336 (1987)
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[Publications] 三木和典: 日本小児科学会雑誌. 91(9). 3075-3081 (1987)
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[Publications] 野瀬宰: 今日の小児診断指針. 第一版. 314-317 (1988)
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[Publications] Osamu Nose: Current Therapy in Neonatal-Prenatal Medicine-2.
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[Publications] 三木和典: ホルモンと臨床. 36(7). 677-680 (1988)