1987 Fiscal Year Annual Research Report
新生児期の無呼吸及び低酸素条件における脳循環の基礎的研究
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62570429
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
磯部 健一 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00159815)
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Keywords | 脳血流 / レーザードップラー血流計 / 新生児脳障害 / 低酸素性脳障害 / 脳血流自動調節 / 脳組織内pH / 血圧 / 脳波 |
Research Abstract |
1.脳血流測定における水素クリアランス式組織血流計及びレーザードップラー血流計の比較:レーザードップラー血流計と水素クリアランス式組織血流計の両者の測定値は, 相関係数0.70と有意な正の相関を認めた. 2.脳血流と生体情報:(1)低酸素開始より蘇生まで:低酸素開始後2〜20分後に平均血圧は前値の約25〜50%増加し, 脳血流も前値の約40%〜55%増加し, 両者の時期は一致した. その後平均血圧の低下とともに, 脳血流は急激に低下した. (2)蘇生時:蘇生時は平均血圧は前値の30〜52%低下し, 脳血流も前値の約15%まで低下した. 動脈血液ガス分析にてpH6.8前後, PaO_220torr前後, BE-30mEq/1前後と著明に低下していた. 吸入酸素濃度を緩徐に低下させた群ではPaCO_2の上昇がみられた. 3.蘇生より回復安定まで:蘇生後平均血圧の上昇と一致して脳血流も急激に増加した. 吸入酸素濃度を緩徐に低下させた群では低酸素回復安定後は平均血圧は前値より軽度低下し, 脳血流は前値の約2/3となり, 脳血流の減少が認められた. 急激に低下させた群では脳血流は前値を越えて増加した. 4.脳波:脳波は脳血流の減少に伴って低電位となり, その10〜25分後には脳血流の変化に伴って平坦化した. 5.脳組織pH:低酸素開始後, 脳組織内pHは漸次低下し, 回復後も約30分まで低下した. その後漸次上昇したが, 動脈血液中のpHは殆ど前値まで回復が見られたが, 組織内pHは前値まで回復しなかった. 以上の成績より低酸素状態の前後における脳血流のダイナミックな変動を明らかにすることが出来, 低酸素による脳血流の自動調節の破綻が考えられ, 脳障害の原因として低酸素による脳血流の減少の重要性が示唆された. 今後, 無呼吸発作時の脳血行動態についても同様に検討する.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大西鐘壽, 磯部健一, 伊藤進他: 第31回未熟児新生児学会, 会長講演集. 1-33 (1986)
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[Publications] 大西鐘壽, 磯部健一, 伊藤進, 今井正, 山川毅, 越智三起子, 国方徹也, 福崎良, 安藤美智子: 小児科臨床. 40. 1813-1834 (1987)
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[Publications] 大西鐘壽, 磯部健一, 伊藤進, 今井正, 真鍋正博: NICU. 1. 83-102 (1987)