1988 Fiscal Year Annual Research Report
肺動脈絞扼および解除による心筋ミオシン重鎖アイソザイムならびに遺伝子発現
Project/Area Number |
62570442
|
Research Institution | HEART INSTITULE OF JAPAN, TOKYO WOMEN'S MEDICAL COLLEGE |
Principal Investigator |
松岡 瑠美子 日本心臓血圧研究所, 循環器小児科, 助手 (50120051)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 篤良 日本心臓血圧研究所, 循環器小児科, 教授 (70075167)
木村 美佐 日本心臓血圧研究所, 循環器小児科, 助手 (60192019)
今村 伸一郎 日本心臓血圧研究所, 研究部, 助手 (00176497)
|
Keywords | 心筋ミオシン / ミオシン遺伝子 / 心筋収縮蛋白 / 肺動脈絞扼 |
Research Abstract |
心臓圧負荷においては、α-ミオシン重鎖(MHC)mRNAがβ-MHCmRNAに変換することにより、MHCアイソザイムがATPase活性の高いV_1より活性の低いV_3に変換することが実験動物およびヒトにおいて報告されている。圧負荷心におけるこのMHC遺伝子発現の変化が、心筋への直接的作用によるものか、甲状線ホルモンなどの液性因子によるものかについて解明するため、当教室で先に行われた腹部大動脈を縮窄するモデルに引続き主肺動脈を絞扼する右室圧負荷モデルを作成した。昨年度の研究により絞扼程度の均一化の確立がなされた。今年度の研究はこの確立された絞扼術を用い右室圧負荷モデルを作成し、術後、一、二、三、四週の負荷側心室(右室)と対応心室(左室)とのミオシン重鎖遺伝子発現動態を対比させる実験を行った。結果はすでに行った腹部大動脈縮窄による左室圧負荷モデルの術後、一、二、三、四週の負荷側心室(左室)と対側心室(右室)とのミオシン重鎖遺伝子発現動態と対比させた実験の結果と比較検討された。この結果、大動脈縮窄および肺動脈絞扼により、左室最大収縮期圧または右室最大収縮期圧はそれぞれ術後上昇した。 一方、反対側の心室内最大収縮期圧、拡張末期圧は偽手術群と有意差がなく、圧負荷が加わっていないことが確認された。心室壁または心重量については、大動脈縮窄または肺動脈絞扼によりそれぞれ左室または右室において有意な上昇を認めたが、反対側心室は偽手術群との間に有意差を認めなかった。次に大動脈縮窄ラット、肺動脈絞扼ラットにおいて一週間ですでにミオシンアイソザイムV_1の有意な減少とV_3の増加を認めた。一方、反対側心室では偽手術群との有意差は認めなかった。本研究において縮窄群では術後二週後より徐々に減少してくる傾向にあるβ-MHCmRNAが、絞扼群では徐々に増加してくる傾向にあることは興味深い点である。また絞扼解除により再びV_1アイソザイムの増加が認められた。
|
Research Products
(9 results)
-
[Publications] Matsuoka,R.: Am.J.Med.Gen.29. 369-376 (1988)
-
[Publications] 松岡瑠美子: 東京女子医科大学雑誌. 58. 73-82 (1988)
-
[Publications] Imamura,S.: Circulation. 78. 59 (1988)
-
[Publications] Matsuoka,R.: Am.J.Med.Gen.32. 279-284 (1989)
-
[Publications] 松岡瑠美子: Jpn.Circ.J.(抄録).
-
[Publications] 今村伸一郎: Jpn.Circ.J.(抄録).
-
[Publications] 松岡瑠美子分担: "小児心臓病学、心筋の発達、ミオシン重鎖の分子生物学的研究" 中外医学社,
-
[Publications] Imamura,S.分担: "Adaptational changes of myosin heavy chain gene expressions and isozyme transitions in cardiac overloading.In:Etiology and morphogenesis of congenital heart disease." Futura,
-
[Publications] 松岡瑠美子: "62年度業績集 日本心臓血圧振興会" 遺伝子工学を導入した心臓病成因解明へのアプローチ、肺動脈絞扼および解除による心筋ミオシンアイソザイムならびに遺伝子発見,