1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトコラーゲン遺伝子プローブを用いた先天性結合織代謝異常症の遺伝子解析
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62570445
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, NCNP |
Principal Investigator |
許斐 博史 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第二部, 室長 (00186719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜川 宜男 国立精神, 神経センター・武蔵病院, 部長 (70183374)
有馬 正高 国立精神, 神経センター・武蔵病院, 副院長 (10032179)
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Keywords | 骨形成不全症 / コラーゲン遺伝子 / コラーゲン |
Research Abstract |
本年度はマルファン症候群のコラーゲン遺伝子検索を継続する予定であったが、1987年にいくつかの論文が発表され、そのいずれもマルファン症候群と間質型コラーゲンの関係を否定するものであった。われわれも昨年度の研究にて同様の結果を得ていたので、今回は先天正結合織代謝異常症の中のエーラス・ダンロス症候群9例、骨形成不全症7令のコラーゲン分子および遺伝子検索を行った。 1.コラーゲン分子検索 検索した症例の中で1令、骨形成不全症-II型の新生児由来の皮膚線維芽細胞が合成するI型プロコラーゲンの中に異常を認めた。すなわちプロα1(I)鎖が2本存在し、1本は正常で、他は正常に比較して少し短いプロα1(I)鎖であった。コラーゲン分子の詳細な検索にて突然変異を起こしているのはコラーゲン鎖のほぼ中央部のCB8ペプチドであることが明らかとなった。他の全ての症例は、I、III型コラーゲン分子に異常はなく、プロコラーゲンよりコラーゲンへの代謝過程に異常を疑わせる所見は認められなかった。 2.コラーゲン遺伝子検索 皮膚線維芽細胞よりDNAを抽出し、種々のDNA制限酵素を用いて切断した。遺伝子プローブとしてはヒトI型コラーゲンのα1(I)鎖のC末端1/4を認識するcDNAであるHf677を用い、サザンブロッテング法にて遺伝子の検索を行った。結果は検索した全ての症例において、I型コラーゲンの異常は見いだされなかった。コラーゲン分子の検索にてα1(I)鎖に異常の見出された骨形成不全症-II型に関しても現在までのところ異常は見出されていない。しかし、これは用いたプローブがα1(I)鎖のC末端を認識するものであるためと考えられ、この点に関してはα1(I)鎖の全てのアミノ酸残基をカバーするcDNAを用いて検索を続けている。
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Research Products
(1 results)