1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570461
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
塩原 哲夫 杏林大学, 医学部・皮膚科, 講師 (10118953)
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Keywords | ランゲルハンス細胞 / classII抗原陽性ケラチノサイト / ETAF / IL-1 / LFA-1molecule / epidermotropism |
Research Abstract |
今年度の研究において苔癬様組織反応発症の第1のステップであるT細胞の表皮内遊走に関与する因子のいくつかが明らかになった. 1)表皮classII抗原陽性ランゲルハンス細胞(LC)の役割:tape-stripping法によりLCを95%以上減少させたマウスに表皮向性T細胞クローンを移入したところ, 未処置マウスと比べ, 表皮向性浸潤は著明に抑制された. これが, tape-strippingにより表皮が障害をうけ, ETAF/IL-1産生が低下したための二次的なものでないことは, 同時に検討した表皮細胞のETAF産生がtape-strippingにより, むしろ亢進することより明らかである. この実験結果は, ステロイド外用やUV照射は, LCを減少させる結果リンパ球の表皮内遊走をおさえる事により種々のリンパ球の関与する皮膚疾患に有効である可能性を支持する. 2)表皮classII抗原陽性ケラチノサイト(KC)の役割:nudeマウスに正常マウス血清を移入することにより有意の炎症反応を伴うことなくKCにclassII抗原を発現させたのち, 種々のT細胞クローンを移入し検討したところ, classII陽性KCは, 表皮向性クローンの表皮内浸潤は著明に増強したが, 非表皮向性クローンに対しては全く効果を認めなかった. classII_+KCは, 表皮向T細胞の表皮内遊走を増強することにより, 苔癬様組織反応の遷延化に働く. 3)表皮向性クローンのin vitroの表皮向性遊走活性:Agar plateを用いたmigration assayにより, 表皮向性T細胞クローンは, 表皮に対し選択的に遊走活性を示すことが明らかとなった. 抗I-A, 抗L3T4抗体は, この遊走活性に影響を与えないが, 抗LFA-1抗体は, この活性を著明に抑制することがわかった. 63年度の研究は, 主に(3)の結果を元にして, T細胞の表皮内遊走におけるLFA-1moleculeの役割について明らかにしていきたいと考えている.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tetsuo Shiohara: J. Am. Acad. Dermatol.18. 67-74 (1988)
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[Publications] Tetuso Shiohara: Arch. Dermatol. Res. 280. 33-38 (1988)
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[Publications] Tetsuo Shiohara: J. Invest. Dermatol.
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[Publications] Tetsuo Shiohara: An. J. Dermatopathol.
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[Publications] 塩原哲夫: "現代皮膚科学大系・年刊版'88"苔癬型組織反応とT細胞"" 中山書店,