Research Abstract |
1.EIA法の検討試料として次の6種のプール血清を用意し, 各種血清反応による抗体価測定およびゲル濾過による抗体分布の変動を確認した. (1).初期治療前期群, (2).初期治療後期群, (3).II期治療前期群, (4).II期治療後期群, (5).晩期抗体高力価群, (6).晩期抗体低力価群. 2.上記6種のプール血清を用いて, 今回開発したEIA法を実施したところ, IgGアイソタイプ(IgG1, 2, 3および4)の4種のいずれもが, 梅毒陰性プール血清に比べて著明な増加傾向を示した. 更に初期およびII期の治療後期血清群では, 治療前もしくは開始時に比べて, IgG2, 3, 4の各アイソタイプのEIA価の低下が観察された. 3.梅毒血清反応3法(CF, HA, RPR)が共に陰性であったA群(60例)と, これ等の血清反応で陽性を示したB群(106例)についてEIA法を実施した結果は以下の如くであった. G1-A群;31.7±25.0, B群;253.8±132.1, G2-A群;34.4±27.4, B群;185.3±137.8, G3-A群;15.2±25.8, B群;1904±117.5, G4-A群;12.1±10.3, B群;110.5±96.8(数字は波長490mmにおける吸光度で表示). 数値に明らかな如く, 梅毒感染により全てのIgGアイソタイプの量が有意に増加していた(P>0.005). 4.コストの低減と反応系の簡易化を目的とし, 酸素を直接TPに標識する方法の開発は, TP菌体を多量に採取後, 直ちに検討に入る予定である. 5.臨床面での成績が明らかな個々の患者血清について各アイソタイプの変動を経時的に追跡し, 加療との関連性を検討する段階にあるが, これに用いる各アイソタイプに対する抗体は, 特異性を考慮し, モノクローナル抗体を利用する準備を整えている.
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