1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570471
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 晴海 京都大学, 医学部, 助教授 (40026943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 淳二 京都大学, 医学部, 教授 (70026970)
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Keywords | 気管支分岐 / 気管支娘枝 / 伸展固定肺 / 画像診断 / X線CT |
Research Abstract |
多くのびまん性肺疾患が末梢肺を主要な病変の場とする. この場合一口に末梢肺と言っても肺胸膜下にも肺内部の区域気管支周辺にも分布する. 特に肺内部に分布する末梢肺が主軸気管支とどう結び付いているのかについて多くの臨床医が疑問を持っている. その切っ掛けを造ったのがX線CTである. これにより肺内部の末梢肺病変が明瞭に摘出されるようになった. そこで今回の研究はX線CT読影の基礎を固める目的で気管支娘枝の解剖とその関連病変について剖検肺を対象に行なった. 剖検肺は固定液で伸展固定されスライス後軟X線撮影と実体顕微鏡観察により分折された. 肺門に最も近い娘枝(娘枝*)に注目するとそれが出現する親枝の頻度はiV>III>V>VI>II次気管支の順であった. 娘枝*の平均直径は2.0±0.5mm(n=185)で, 親枝径との比は0.55±0.09(n=100)であった. 娘枝*径とそれが支配する領域の最大径とは高い相関があった(γ=0.919, ρ<0.001). 娘枝*は親枝からほゞ直角に分岐し, 同じ側で支配域を広げつつ, 縦隔面や葉間面, 葉支や区域支の周囲に達した. 娘枝*の支配域内にもRoidの2次小葉の存在が確認された. 娘枝*に続く数次分枝は小葉外に位置した. X線CT読影に関係の深い代表的娘枝領域について責任娘枝*を同定した. たとえば気管背後に分布する末梢肺はB^1のV次分枝を親とする娘枝*の支配下にあった. 右上葉支背後の末梢肺はB^2aから分岐する娘枝*の支配下にあった. 以上の基礎的検討を基に疾患肺を用いて娘枝*関連を検討した. 気腔性病変を示唆する空気気管支影(air bronchogram)は親枝を囲む複数の娘枝*支配域の含気消失で説明された. 肺内部に発生した末梢型肺癌には主軸枝は関与せず, 替りに複数の娘枝*が直接関与した.
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[Publications] 伊藤春海: 気管支学. 9. 312-323 (1988)
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[Publications] 伊藤春海: 気管支学. 9. 122-128 (1987)
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[Publications] 伊藤春海: 日本放射線技術学会雑誌. 43. 589-600 (1987)
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[Publications] 伊藤春海: 日本放射線技術学会雑誌. 43. 1708-1720 (1987)
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[Publications] 伊藤春海: 呼吸. 6. 153-160 (1987)
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[Publications] 金岡正樹: 呼吸. 6. 1071-1077 (1987)