1988 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロン核種^<68>Ga標識肝スキャン剤の臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
62570478
|
Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
国安 芳夫 帝京大学, 医学部, 教授 (20009575)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 静香 帝京大学, 医学部, 助手 (40147062)
|
Keywords | 肝スキャン剤 / ^<68>Ga標識アルブミンマイクロスフェア / ジエネレータ産生ポジトロン核種 / 原発性肝癌 / 肝網内系細胞の機能検査 / 肝・脾のボリュウム |
Research Abstract |
我々はポジトロンCT用の、簡便なキットタイプの新しい肝スキャン剤を開発した。基礎的事項として、短時間で^<68>Gaを人血清アルブミンマイクロスフェア(Human serum albumin microspheres:HSAM)に標識するためにアセテートバッファを使用し、無菌的にミルキングから標識率の確認まで10〜15分間で完了する系を確立した。ファントムを使用して投与量と検査時間の関係につき検討し、1mCi以下でも十分撮像が可能であることを確認した。同時に撮像のためのポジトロンカメラの至適条件を得た。また、ファントム用いin vitroにおけるSOL検出能を検討した結果、12mmまでの欠損像が検出可能であることが分かった。ここで実際に人への投与を開始した。第一例目は、肝右葉S5〜S6にまたがる5cmの原発性肝癌例で、本スキャン剤による副作用は全くなく、シャープな輪郭の肝癌による欠損像を描出することができた。以後、ルーチン検査として、肝SOL検出能と肝網内系細胞の機能検査の臨床的有用性を評価するために48症例(5例:正常人、11例:肝硬変、18例:肝硬変肝癌合併例)に対し本スキャン剤を投与し検討した。投与条件は、1〜2mCiの^<68>Ga-HSAMを静脈投与し、全身PETスキャナーで肝スライス厚、1.5cmでイメージを撮った。その結果、直径1.2cm〜6cmの肝癌では、2cm以上のものは全て検出できた。肝及び脾のボリュウムに関しては、各スライスの面積に厚さをかけるsummation methodを用いて計測したが、X線CTのボリュウムとは良好な相関を示した。特にSPECTでは測定困難なボリュウムの小さな例でもr=0.93と非常に良好な相関が得られた。さらにDARによる計測から、慢性肝疾患の進行と共に肝への取り込みは低下するが、脾への取り込みの増加はなく、単に脾のボリュウムの増加によるものであることを証明できた。慢性肝疾患の病態の解明に非常に有用な情報を提供し得る手段であるといえる。
|
Research Products
(1 results)