1988 Fiscal Year Annual Research Report
薬物惹起性のラット移動状態に対する躁病治療薬の影響に関するん神経化学 的研究
Project/Area Number |
62570486
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Research Institution | Yamanashi Medical College |
Principal Investigator |
假屋 哲彦 山梨医科大学, 医学部, 教授 (60014023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝田 隆 山梨医科大学, 医学部, 助手 (90184142)
本橋 伸高 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30166342)
中河原 通夫 山梨医科大学, 医学部, 講師 (50114773)
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Keywords | PNMT阻害薬 / リチウム / 多動状態 / ラットの種属差 |
Research Abstract |
本年度は、ノルアドレナリンからアドレナリンを合成する酵素であるフェニルエタノールアミンNメチル基転移酵素(PNMT)の阻害薬を用いて、ラットの多動状態の検討を行った。 PNMTは、脳内ではアドレナリン作動性神経に存在し、アドレナリンの合成を行なっていると推定されている。合成されたアドレナリンは、α-2受容体の作動薬として作用し、ノルアドレナリン作動性神経との関連が注目されている。われわれはPNMTが視床下部と中脳以下の脳部位で高値を示すFisher344ラットと自然発症性高血圧ラット(SHR)にPNMT阻害薬のSKF64139を用いて、多動状態の測定をない、これをPNMTが高値を示さないwistar系ラットの行動変化と比較した。行動測定にはラット行動測定装置(ON-3420)を用い、自発運動量をフォトセルにより測定した。PNMT阻害薬を投与すると、Fischer344、SHR、Wistarのいずれの種属においても、自発運動量の増加が認められた。PNMTの高値を示すFischer344およびSHRではwister系ラットと比較して、有意に自発運動量の増加の割合が上昇していた。これらの結果は、脳内のアドレナリン濃度の減少が、ラットに多動状態をひきおこすことを示しており、さらにPNMT活性が、多動状態を調節していると考えられた。これらの結果については、第16回国際神経精神薬理学会会議と第18回日本神経精神薬理学会で報告した。さらに、これらのラットのストレス反応の種属差についても、第11回日本生物学的精神医学会で報告の予定である。躁うつ病治療薬のリチウムと、ノルアドレナリンとの関連については多くの報告があるが、アドレナリンとの関連についての研究は行われていないので、現在、PNMT阻害薬投与による多動状態を用いたチリウムの影響について検討を行っている。
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[Publications] Nakagawara,M;Kariya,T.;Asada,T.;Atobe,M.;Kubota,M.;Motohashi,N.: Psychopharmacology. Supplement96. 96 (1988)
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[Publications] 假屋哲彦,中河原通夫,本橋伸高,朝田隆,平野雅己,佐藤佳夫: 厚生省神経疾患研究委託費報告書. 昭和62年度. 73-78 (1988)
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[Publications] 本橋伸高,假屋哲彦: 神経化学. 27. 368-369 (1988)
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[Publications] 中河原通夫,猪川和興,本橋伸高,渡辺明子,朝田隆,小野桂子,渡辺ちさと,假屋哲彦: 薬物・精神・行動. 8. 131-132 (1988)
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[Publications] 塩江邦彦,假屋哲彦: 神経精神薬理. 11. 37-48 (1989)
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[Publications] 中河原通夫,久保田正春,跡部勝,朝田隆,本橋伸高,渡辺ちさと,假屋哲彦: 第11回日本生物学的精神医学会. 第11回抄録. 103 (1989)
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[Publications] 假屋哲彦,高橋祥友: "図説臨床精神医学講座5:2躁うつ病" メジカルビュー社, 37-71 (1988)