1987 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんモデルとしてのElマウスにおける脳細胞核の転写後阻害機構の解析
Project/Area Number |
62570493
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山上 栄 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (20047004)
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Keywords | Elマウス / ポリ(A^+)ポリメラーゼ / ポリアデニレーション / てんかん |
Research Abstract |
Elマウス脳細胞核を, 2.2M-蔗糖溶液を用いて調整した. 核を洗滌・遠心し, 核上清を分離した. ポリ(A^+)ポリメラーゼ活性の測定には, この核上清を用いた. 反応液中のMn^<++>イオン濃度は0.6mMで最大活性を示し, 至適濃度は8.0であった. 添加したATP濃度は, 0.45mMで最も活性が高かった. プライマーとしては加えたポリ(A^+)の至適濃度は, 約600μg/mlであった. これらの結果はこれまでに肝ポリ(A^+)ポリメラーゼで報告された諸性質ともよく合致していた. 発作間歇期におけるElマウスを, 大脳皮質, 白質, 海馬, 中脳, 間脳などの6部位に分け, それぞれの酵素活性を測定した. その結果, 海馬がもっもと高く, 次いで大脳皮質, 中脳, 間脳, 白質, 小脳の順に活性の低下が認められた. このことは, 海上が発作感受性に最も密接に関与していることを示唆するものである. 他方, 発作非感受性のddYや生後一度も痙攣発作を誘発させなかったEl(-)マウスの海馬について, El(+)マウスの場合と酵素活性を比較したところ有意差はみとめられなかったが, El(+)マウスがやや低く, El(-)とddYマウスとはそれより高い活性を示した. この結果は, El(+)マウスのポリアデニレイションが一週一回の放り上げ刺激による痙攣発作によって軽度に抑制される可能性を示唆するものである. 海馬における酵素活性におよぼす痙攣発作の影響に検討を加えた. 発作前に既に間歇期より低に活性を示すが, 発作中にはさらに有意な低値となり, 間歇期の約65%に達した. しかし, 発作後, 活性も徐々に回復を示し, 発作後15分では逆に間歇期の125%まで上昇するrebound現象を呈した. その後30分では間歇期のレベルまで達し, 以後この値を維持した. この15分後でみられた現象は発作によって抑制されたポリアデニレーションを含む転写後阻害を回復しようと努めるためのものと思われ, Elマウス海馬の急速なホメオスタシスを示唆するものとも考えられる.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamagami, S. et al: Folia Psychiat. Neurol. Jpn.41. 407-410 (1987)
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[Publications] Yamagami, S. et al: Folia Psychiat. Neurol. Jpn.41. 588-589 (1987)
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[Publications] Yamagami, S. et al: Exp. Neurol.95. 167-177 (1987)
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[Publications] Yamagami, S. et al: J. Neurosci. Res.22. (1988)
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[Publications] Yamagami, S. et al: Exp. Neurol. 25. (1987)