1987 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん患者における免疫グロブリン異常とウイルス感染との関係について
Project/Area Number |
62570495
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
風祭 元 帝京大学, 医学部・精神科, 教授 (40082094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 武登 与野中央病院, 精神科, 医員 (50169934)
池田 久基 帝京大学, 医学部・精神科, 助手
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Keywords | てんかん / 免疫グロブリン / 分泌型IgA / ウイルス抗体価 |
Research Abstract |
〈はじめに〉 てんかん患者における免疫グロブリン異常とウイルス感染との関係を調べるために, 各種免疫グロブリン濃度を測定し, 血清中ウイルス抗体価との関連を検討した. 〈方法〉提供大学病院精神神経科外来を受診したてんかん患者33名(14歳〜44歳:平均年令27歳)と医学部学生15名(22歳〜32歳:平均年令26歳)を対象とした. 測定は血清中のIgA, IgG, IgMはsingle radial immunodiffusion法, 唾液中の分泌型IgA(s-IgA)はEIA法唾液中の総蛋白質はBCA法を用いた. 血清中ウイルス抗体価は, サイトメガロ, 単純ヘルペスI型, コクサッキー, アデノ, 麻疹, ロタ, ムンプスウイルスのCF抗体価を用いた. (結果)1.各測定値の患者群と対照群との比較:総蛋白質は患者群で有意に高い値を示した. IgG, IgM, s-IgAは患者群で値の高い傾向が認められたが, 統計上有意差はみられなかった. IgA値には差が認められなかった. IgA値とs-IgA値の間には明らかな相関は認められず, 両者の存在様式には個体要因の影響が大きいと思われた. 2.免疫グロブリン値とウイルス抗体価:患者21名について検討すると, ムンプスウイルスでは抗体価とIgA値の間に, アデノ, 麻疹ウイルスではs-IgA値との間に強い正の相関が認められた. 一方, ロタとIgA, サイトメガロ, コクサッキーウイルスとs-IgAでは弱い負の相関が認められた. 3.免疫グロブリン値と臨床所見:てんかんの分類, てんかん発作の分類, てんかんの遺伝負因の有無, 罹病期間, 服薬期間によって差は認められなかった. 〈まとめ〉免疫グロブリン値については患者群と対照群で差は認められなかった. しかし, 患者群ではIgA低値やs-IgA高値を示す例がみられた. 今後はそれらの患者で, より詳しい臨床的検討や, ウイルス抗体価との関係についての検討が必要と思われる.
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