1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570496
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN INSTITUTE OF GERONTOLOGY, SECTION OF PSYCHIATRY |
Principal Investigator |
本間 昭 東京都老人総合研究所, 精神医学研究室, 室長 (40081707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中里 克治 東京都老人総合研究所, 心理研究室, 研究員 (50110028)
下仲 順子 東京都老人総合研究所, 心理研究室, 室長 (70073004)
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Keywords | 100才老人 / 認知機能 / 痴呆 / 日常生活動作 / 身体疾患 / 人格 / 性役割 / 適応 |
Research Abstract |
本調査は1983年に100歳以上、1988年と1989年に100歳となった東京都在住の509人のうち、294人(男78、女216)について(1)超高齢に達した人々の精神機能を知ること、(2)超高齢の精神機能の正常老化と病的老化の相違点を明らかにすること、(3)超高齢における精神機能の正常化に関与する要因を明らかにすること、(4)超高齢老人の人格特性を明らかにすること、を目的として行われた。 今回の調査結果では、特に男性において身体的かつ精神的に十分な機能が保たれていることが明らかにされた。すなわち、意思表示、会話理解および情緒表出などのコミュニケ-ション機能では女性よりも男性で保たれていた。現在の身体疾患でも高血圧や脳血管障害を含めて男性に明らかに多いと考えられる身体疾患は見られなかった。日常活動性では「寝たきり」、「寝たり、起きたり」は男性の28.2%に対して女性では50.9%であった。「家の中では普通に動く」以上の機能を有する割合は男性の41.1%に対して女性では19.5%であった。以上の結果は昭和48年に行われた全国規模の調査結果では示され得なかった点である。また、痴呆と判断された群では、痴呆がないと判断された群ではみられなかった、痴呆の中核症状以外の精神症状がみられ、病的変化と考えられた。現在用いられている痴呆の診断基準は特に超高齢者を対象とした場合検討する必要があると考えられた。 人格特徴に関しては、100歳男女は自分が健康であると感じ、不安感も少なく精神的な安定をえていたことが注目された。日常生活における行動パタ-ンは、男女共に相対的にストレスのたまらないマイペ-スタイプ傾向が示された。また男性性、女性性人格特徴に関しては男女に違いがみられ、超高齢期になると、男女で適応様式が異なることが推定された。
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