1988 Fiscal Year Annual Research Report
内因性ナトリウム利尿物質の細胞内作用機序に関する研究
Project/Area Number |
62570502
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
松岡 博昭 東京大学, 医学部, 講師 (20111544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 誉志夫 東京大学, 医学部, 助手 (40184965)
後藤 淳郎 東京大学, 医学部, 助手 (00150277)
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Keywords | 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 内因性ジギタリス様物質 / 内因性ナトリウム利尿物質 / アルドステロン / cGMP / A10細胞 / プロスタグランディン |
Research Abstract |
本研究においては内因性ナトリウム利尿物質であるヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)と内因性ジギタリス様物質(EDF)の細胞内作用機序を明らかにする目的で高血圧自然発症ラット(SHR)副腎球状層細胞(G細胞)と大動脈血管平滑筋細胞(VSM細胞)およびラット大動脈平滑筋細胞継代株A10細胞を用いて検討した。また、同じくナトリウム利尿物質と考えられるプロスタグランディンI_2(PGI_2)、E_2(PGE_2)などのSHRにおける腎、血管系での動態についても検討した。ANPはSHRのG細胞とVSM細胞において対照ラット(WKY)に比し、cGMP産生をより強く刺激したが、G細胞でのアルドステロン産生抑制作用は同程度であった(松岡他、第30回日本腎臓学会総会、1987年)。ヒト尿中EDFを逆相および高感度液体クロマトグラフィーを含む各種技法を用いて分離、精製し、A10細胞において^<45>Caの流入と流出、および蛍光色素Fura2を用いて細胞内遊離Ca濃度におよぼすEDFの作用を検討したところ、EDFはA10細胞において、^<45>Caの流入を促進させ、流出を抑制し、細胞内遊離Ca濃度を増加させた。このEDFによる細胞内遊離Ca濃度の増加はアルギニンバソプレシンに比し、長時間持続する傾向だった。以上より、EDFは血管平滑筋細胞内Ca動態に影響を与え、持続的な血管壁緊張の調節に関与している可能性が示唆された(山田他、第11回日本高血圧学会 1988年)。プロスタグランディン系に関しては、幼若SHRの腎皮質でPGE_2、PGD_2、PGF_<2α>の低下がみられた。また、SHR血管壁ではトロンボキサンA_2(TbA_2)の合成が亢進しており、このことが血管平滑筋細胞の増殖亢進に関与し、さらにこれらの作用がPGI_2で抑制されることより、Na代謝に関与するPG系が高血圧の成因に関係している可能性が示唆されている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hiroaki,Matsuoka;et al.: JAMA SEA. 4. 43-46 (1988)
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[Publications] Yasunobu,Hirata;et al.: Am.J.Cardiol.62. 55-58 (1988)
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[Publications] Atsuo,Goto;et al.: Hypertension. 11. 645-650 (1988)
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[Publications] Yasunobu,Hirata;et al.: Circulation. 78. 1401-1410 (1988)
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[Publications] Toshihiko,Ishimitsu;et al.: Hypertension. 12. 46-51 (1988)
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[Publications] Yasunobu,Hirata;et al.: Clin.and Exper.Hyper.A11. 89-101 (1989)
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[Publications] Yasunobu,Hirata;et al.: "American Society of Hypertension Symposium Series.Vol.2.Advances in Atrial Peptide Research." Brenner and Laragh, 621 (1988)
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[Publications] Yasunobu,Hirata;et al.: "American Society of Hypertension Symposium Series.Vol.2.Advances in Atrtial Peptide Research." Brenner and Laragh, 621 (1988)