1987 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病状態での糖輸送担体蛋白の変動とその機構の解析
Project/Area Number |
62570504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 芳知 東京大学, 医学部(病), 助手 (70175256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 知一郎 東京大学, 医学部(病), 医員
柴崎 芳一 東京大学, 医学部(病), 助手 (80196419)
春日 雅人 東京大学, 医学部(病), 助手 (50161047)
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Keywords | 糖尿病 / 糖輸送担体蛋白 / 糖輸送担体遺伝子 |
Research Abstract |
ストレプトゾトシン静注により糖尿病を惹起し, 糖尿病ラットおよびそのインスリン治療ラットの脳および心での糖輸送担体数を正常ラットのそれと比較検討した. サイトカラシンBを用いたフォトアフィニティ標識法, HepG2タイプの糖輸送担体に対する抗体を用いたウエスタンブロッティング法, いずれの分析法にても脳および心での糖輸送担体数は減少せず, 従来, 糖輸送担体数の減少が報告されている脂肪組織とは異った結果を得た. さらに遺伝子レベルでの検討を行うために, まずラビット脳のcDNAライブラリーよりHepG2細胞で認められた糖輸送担体と同類のcDNAをクローニングした. これは2.5kbの長さを持ち, HepG2細胞およびラット脳でクローニングされたものと極めて類似していた. この1.5kbのフラグメントをプローブとしてノーザンブロッティングを行ったところ, 2.8kbのHepG2タイプ糖輸送担体のmRNAはラット脳および心にて, 糖尿病ラット, そのインスリン治療ラットとも, 正常ラットとの間に差を認めず, 糖輸送担体蛋白が変化しない結果を支持していた. 我々はHepG2タイプの糖輸送担体の一部に相当する3種類のショートペプチドを合成し, 対応する部位特異的抗体を得た. これらの抗体はヒト赤血球の糖輸送担体のすべてを認識したのに対し, ラット脳では糖輸送担体の20-30%, ラット脂肪組織ではせいぜい3%しか反応しなかった. これはHepG2タイプではない別種の糖輸送担体の存在を示唆してしる. この可能性は遺伝子レベルでの検討からも示唆される. すなわち, 上述のcDNAをプローブとしてノーザンブロッティングを行うと, ラット脂肪組織にはHepG2タイプの糖輸送担体mRNAが非常に少なく, すべての糖輸送担体をこの遺伝子が発現しているよりもむしろ別の糖輸送担体遺伝子も存在することを示唆していた.
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[Publications] Y.OKA, T.ASANO, M.KASUGA, Y.KANAZAWA, F.TAKAKU: Diabetes. 36(SUPPL1). 83A (1987)