1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 憲 東京大学, 医学部(病), 助手 (50192034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 憲夫 東京大学, 医学部(病), 助手 (40143432)
内村 英正 東京大学, 医学部(病), 助教授 (00111500)
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Keywords | 甲状腺細胞;組織培養;成長因子;バセドウ病;甲状腺刺激ホルモン |
Research Abstract |
1.バセドウ病の手術時に得られる甲状腺組織から濾胞細胞を単離し, これを無血清・無蛋白培地中で単層培養し, 数ヵ月に渡って維持することが可能となった. またトリプシン処理による細胞の植え継ぎも可能となった. 2.この細胞のDNA合成能を^3H-サイミジンの取込みを指標として, 種々のホルモンや成長因子のもつ刺激能を検索したところ, TSHは血清無添加時にのみ刺激し, IGF-1とEGFも用量依存性に刺激することが判った. 3.甲状腺組織に特異的なTSHと非特異的な他の成長因子との間の, 成長に対する相互作用を, 株化細胞であるFRTL-5を用いて調べたところ, . TSHとIGF-1との間には相乗効果を認め, TSHとIGF-βとの間では抑制効果を認めた. このような相互作用の機序として, 相互の受容体に対する影響を調べると, 高親和性TSH受容体の数をIGF-1は増加させ, TGF-βは減少させることが判った. 逆にIGF-1の受容体に対しては, TSHは特に有意の影響は認めなかった. 4.ヒト甲状腺細胞が培養液中に, ある種の成長促進活性を放出していることが判明した. この活性は, ヒト甲状腺細胞やラット株化甲状腺細胞FRTL-5だけでなく, ラット株化線維芽細胞NRKのDNA合成も促進し, FRTL-5においては, 実際に細胞数を増加させた. これらの細胞に対する種々の成長因子の作用との比較, 及び, 相互作用の検討から, この培養液中の成長促進活性は, 未知の成長因子を含む可能性が示唆されている. 今後は, 甲状腺細胞のオリジンや, 培養液の組成, 特に加える成長因子の種類を検討し, 当初の目的である株化ヒト甲状腺細胞の取得に努めるとともに, ヒト甲状腺細胞の放出する成長因子についても, その分離・同定・クローニングをはかる予定である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 久保田 憲: 日本内分泌学会雑誌. 63. 1035 (1987)
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[Publications] 福江 暘: 日本内分泌学会雑誌. 63. 1051 (1987)
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[Publications] 内村 英正: American Thyroid Association The 62nd Meeting Abstracts. T-61 (1987)
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[Publications] 久保田 憲: ホルモンと臨床. 36. (1988)
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[Publications] 久保田 憲: Modern Physician. 8. (1988)
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[Publications] 福江 暘: Modern Physician. 8. (1988)