1988 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド・アゴニストとしての甘草成分;グリチルリチンの作用機序に関する研究
Project/Area Number |
62570508
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Research Institution | School of Medicine, Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹田 亮祐 金沢大学, 医学部, 教授 (50019535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森瀬 敏夫 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (40191027)
宮森 勇 金沢大学, 医学部:講師 (40142278)
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Keywords | グリチルリチン / Mg^<2+>-HCO<-( / )3>ATPase / ミネ ラロコルチコイド / ミネラロコルチコイド・レセプター / 直腸粘膜電位 / RU28362 / ZK91587 |
Research Abstract |
多くの漢方薬に含有されている甘草成分であるグリチルリチンのナトリウム貯留,昇圧機構を鉱質ステロイド(MC)・アゴニストとしての性状から検討するため、新らたに合成したエチルグリチルレチン酸(GR)を用い、トリチウム〔^3H〕標識アルドステロンの腎の細胞質MC受容体蛋白(MC・R)との結合に与える影響、この実験系に与えるレセペター・ブロッカーの効果およびGRの小腸粘膜印刷子縁Mg^<2+>-HCO^-_3ATPase活性、直腸粘膜電位差への効果を検討した。その結果、次の如き成績が得られた。1)〔^3H〕アルドステロンとラットの腎細胞質ステロイド受容体との結合は、スキッチャード分析上、高親和正Bmax1.0×10^<-14>mol/mg蛋白、Kd6.0×10^<-9>M、低親和正Kd1.6×10^<-7>Mであり、GRの添加により結合の競合が示されたが、GRの結合能はアルドステロンの1万分の1程度にすぎなかった。グルシココルコイド・レセプター・ブロック-RU28362、ZK91587添加実験からGRは主としてアルドステロン結合部位に親和正をもつことが示された。2)GRは副腎摘出ラットに投与した場合、小腸粘膜印子縁Mg^<2+>-HCO^ー_3ATPase活性の回復はアルドステロン投与時の効果に及ばなかった。しかし、3)副腎摘出によって低下した直腸粘膜電位は、GRの長期投与7日間)によって用量依存性に有意に上昇した。4)追加実験として健康人(n=5)にGR225mg/日を7日間経口投与し、その前後で尿中コルチゾール(F)とコルソン(E)排泄量を比較検討したところE/Fの比はGR投与前後において、0.9±0.15から0.55±0.005と有意な低下を認めた。この結果は、GRのMC作用には11β-hydroxysteroid dehydrogenase阻害作用が加味されていることを示している。以上の成績を総合的に考察すると、GRのMC作用発現機序には多因子が関与しているものと結論される。
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[Publications] Takeda,R.;Miyamori,I.;Soma,R.;Matsubara,T.;Ikeda,M.: J.steroid Biochem. 27. 845-849 (1987)
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[Publications] Soma,R.;Ikeda,M.;Morise,T.;Miyamori,I.;Takeda,R.: J.steroid Biochem.
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[Publications] 松原隆夫,蘇馬隆一郎,池田正寿,森瀬敏夫,宮森勇,竹田亮祐: 医学のあぬみ. 144. 755-756 (1988)
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[Publications] 池田正寿,永井國雄,岡本清也,伊藤裕二: 日本内分泌学会雑誌.
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[Publications] 竹田亮祐,蘇馬隆一郎,越田英夫,池田正寿,森瀬敏夫,宮森勇,: 医学のあゆみ.