1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570510
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠木 寛治 京都大学, 医学部, 講師 (20115819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 淳二 京都大学, 医学部, 教授 (70026970)
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Keywords | FRTL5細胞 / ヨード摂取 / TSH受容体 / 原発性甲状腺機能低下症 / 橋本病 / cAMP / TSH刺激抑制抗体 / TSI / TBII |
Research Abstract |
私達は昨年までの研究結果で、TBII(TSH-binding inhibitor immunoglobulins)陽性のブロッキングタイプのTSH受容体抗体がTSH刺激による培養ラット甲状腺細胞(FRTLー5)へのヨード摂取上昇反応に対して、抑制作用を示すことを報告した。さらにTBII陰性の原発性甲状腺機能低下症患者IgGにおいてもTSH刺激によるヨード摂取上昇反応に対して抑制作用を示すことを明らかにした。本年度はさらに症例数を増やし検討したところ、TBII陽性の原発性粘液水腫(萎縮性甲状腺炎)患者においては15例中全例に、TBII陰性の原発性粘液水腫患者においては62.5%(10/16)に、橋本病による甲状腺腫を有する甲状腺機能低下症患者では43.8%(7/16)にヨード摂取抑制活性が認められた。一方甲状腺機能正常の橋本病患者では15.4%(2/13)に認められたにすぎず、甲状腺機能低下症群にのみ有意の抑制作用が認められた。約20%の症例でフォースコリン刺激によるヨード摂取に対して抑制作用を示すものが認められた。TBII陰性患者32例で、TSH刺激によるそれと比較してみると、r=0.685と有意の相関関係が認められた。dibutyryl cAMP刺激によるヨード摂取に対しても弱いながらも抑制作用を示すものが数例認められた。これらの抑制活性と甲状腺機能、甲状腺腫の大きさ、抗甲状腺抗体価などとの間には特に関連性が認められなかった。以上、ヨード摂取抑制活性と甲状腺機能低下症の発現との密接な関係が明らかにされた。この抑制作用にはTSH受容体におけるTSHまたはTHI(Thyroid Stimulating Immunoglobulins)の結合を介するものと、それ以降おそらくアデニールシクラーゼの抑制機構を介するものと、少なくとも2種類存在すると考えられた。さらにTSH刺激による抑制作用とTSI刺激による抑制作用との間に良好な相関関係が認められたこと(r=0.929)より、TSIがTSH受容体においてTSHの結合部位あるいはそれに非常に近い部位に反応してcAMPを産生させているものと考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tokuda,Y.;Kasagi,K.;Iida,Y.;Hatabu,H.;Misaki,T.;Arai,K.;Endo,K.;Konishi,J.: J.Clin.Endocrinol.Metab.67. 251-258 (1988)
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[Publications] 笠木寛治、飯田泰啓、徳田康孝、日高昭斉、幡生寛人、武田京子、高松順太、隈寛二、小西淳二: ホルモンと臨床. 36増刊号. 59-66 (1988)
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[Publications] 笠木寛治、幡生寛人、徳田康孝、飯田泰啓、遠藤啓吾、小西淳二: ホルモンと臨床. 36増刊号. 297-306 (1988)
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[Publications] 小西淳二、笠木寛治: 医学のあゆみ.
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[Publications] 鳥塚莞爾、笠木寛治: 臨床成人病. 18. 1855-1863 (1988)
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[Publications] 笠木寛治、幡生寛人、徳田康孝、飯田泰啓、遠藤啓吾、小西淳二: ホルモンと臨床.
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[Publications] Junji Konishi: "Thyroid autoimmunity,Progress in Endocrinology 1988," Excerpta Medica, 1576 (1988)
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[Publications] 小西淳二、笠木寛治: "甲状腺と自己免疫ーTSH受容体抗体をめぐってー画像診断学の基礎と臨床、病態生理へのアプローチ、in vitro核医学" 金芳堂, 82 (1988)