1987 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病代謝指標としての血中アンヒドログルシトールの意義
Project/Area Number |
62570519
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山内 俊一 帝京大学, 医学部, 助手 (40191374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箕田 進 帝京大学, 医学部, 助手
赤岡 家雄 帝京大学, 医学部, 教授 (00000919)
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Keywords | 1, 5-アンヒドログルシトール / 1-デオキシグルコース / ポリオール / 尿糖 / kkマウス |
Research Abstract |
ブドウ糖近似の構造式をもつ, 1.5-アンヒドログルシトール(AG)は, 血中で最も濃度の高いポリオールである. 我々は糖尿病患者で血中AGが滅少または消失していることを見い出した. 本年度我々は実験動物や培養細胞におけるAGの体内動態や代謝状態を検討し, 糖尿病状態での血中AGの低下の原因を探るとともに, 多くの臨床症例の検討により, その臨床的な意義づけを試みた. ラットを用いた実験で, 血中AG濃度はSTZやアロキサン等の催糖尿病薬のみならず, ワロリジンのような尿糖のみを増加させる物質によっても滅少した. 血中AG濃度の滅少率は尿糖誘発物質の種類のいかんを問わず, 尿糖総量と高度の相関を示した. 血中AG濃度と尿糖量との逆相関はKKマウスによっても確認され, 生後4〜5ヶ月以後, 尿糖が増大するに従って血中AG濃度は滅少を示し, 尿糖量がピークに達する生後6ヶ月頃にはAG濃度も底を打ち, 以後自然に尿糖が滅少していくに従ってAG値もしだいに上昇していくことが判明した. 一方, ラットに放射能標識したAGを注入し, その動態を調べた実験では, AGは体の全組織中にほぼ均一に分布しうることが判明した. しかし脂肪細胞を含む各種細胞系でのAGの取込み実験の結果から見て, AGの代謝自体は極めて緩慢なものであることが予想され, その血中濃度に関しては腎よりのAGの排泄が決定的な意味あいを持っていることが示唆された. 各種疾病患者および正常人での検討より, AGは糖尿病患者で特異的に滅少していることが確認された. 正常人の年令別では20才代の男性(29.2±8.4μg/ml)で有意に高値であったが, 一般に加令の影響は誤差範囲内であった. 女性では各年代とも男性より低値を示す傾向が認められたが統計学的には有意差はなかった. また正常人においても糖尿病患者に関しても, 肥満者では低下傾向が認められたが, 統計学的な有意差は認められなかった.
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