Research Abstract |
豚下垂体より腎成長因子(レノトロピン)を精製した. 方法は羊腎成長因子を精製すると同じ方法でおこなった(既報). これを分取用等電点電気泳動にて展開したところ5つのピークに分離した. 各々のピークのpIはFr, 1, 10.4;Fr, 2, 10.2;Fr, 3, 10.0;Fr, 4, 9.8;Fr, 5, 9.4であった. 以上の1EF各分画を逆相HPLCで展開すると3種のαサブユニット, 3種のβサブユニットの溶出が認められた. これはαサブユニットではそのN末端, βサブユニットではそのC末端の相異に由来することを明らかにした. しかしIEF各分画間でHPLC溶出パターンには大きな違いは認められず, IEFでの溶出はアミノ酸構造の差によるものではなく, 糖鎖の違いによるものと推察された. 次に各IEF分画の生物活性について検討した. まずインビボのアッセイ系でのレノトロピン活性はFr, 2, Fr, 4, Fr, 5に認められた. 一方インビトロのアッセイ系ではすべての分画に活性が認められたもののその力価には違いがあり, Fr, 2>Fr, 1>Fr, 3>Fr, 4>Fr, 5の順であった. 腎成長因子はLHの特殊アイソホルモンと考えられるのでIEF各分画のゴナドトロピン活性(インビトロのアッセイ系)を検討した. その力価はFr, 2>Fr, 1>Fr, 3>Fr, 4であり, Fr, 5の活性は僅かであった. 以上よりレノトロピン活性はその糖鎖構造の違いによって活性が左右されることが強く示唆された. この構造はゴナドトロピン活性にも影響するがレノトロピン活性とは解離がみられた. レノトロピン活性もインビボとインビトロでは異なることより糖鎖末端の硫酸基, シアル酸の有無によって代謝が影響されることも示唆された.
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