1988 Fiscal Year Annual Research Report
GRFおよびソマトスタチンのGH分泌調節機構における基礎的および臨床的研究
Project/Area Number |
62570524
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Research Institution | Tokyo Women's Medical College |
Principal Investigator |
芝崎 保 東京女子医科大学, 内科, 講師 (00147399)
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Keywords | 成長ホルモン放出因子 / ソマトスタチン / 成長ホルモン / 分泌調節 / 成長ホルモン分泌刺激試験 |
Research Abstract |
成長ホルモン(GH)の分泌調節は主に視床下部より分泌されるGH放出因子(GRF)とソマトスタチン(SRIF)によなされているが不明点が少なくない。そこで本年度には以下の点を検討した。1.ヒトにおいてはいくつかのGH分泌刺激試験が行なわれているが、アルギニン点滴投与によるGH分泌刺激機序の詳細は不明である。健常人に200μgGRFを前投与し120分後にGRFを再投与したところ、そのGH分泌刺激機序は消去したのに対し、同条件下でのアルギニン投与によるGH分泌刺激効果はアルギニン単独投与時と同様に認められた。さらにSRIFのアゴニストであるSMS201-995を前投与しておくとアルギニンおよびGRFのGH分泌刺激効果は認められなかった。またアルギニン点滴投与終了時にGRFを静注したところ、GRFのGH分泌刺激作用は有意に増強された。以上の結果とアルギニン投与時に末梢血中GRF値には有意な上昇が認められなかったという報告より、ヒトにおいてアルギニンは視床下部よりのSRIFの分泌を抑制することによりGHの分泌を促進すると考えられる。SRIFはGHのみならずTSHの分泌にも抑制的に作用することにより、アルギニン投与時に血中TSHを高感度アッセイ法で測定した結果、対照と比較し有意にTSH値が上昇した。この結果もアルギニンがSRIFの分泌を抑制することを示唆しているものと考えられる。2.ラット視床下部切片の灌流系においても、インキュベーション法と同様にSRIFはGRFの放出を抑制した。インキュベーション法でのSRIFによるGRF放出の抑制は10^<-10>-10^<-8>Mで認められたのに対し、灌流系では10^<-11>Mより有意な抑制が認められ、かつ各濃度における抑制度も強いことから灌流系の方がより鋭敏な変化をとらえ得ると考えられる。
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[Publications] Masuda,A.;Shibasaki,T.,et al.: J.Endocrinol.Invest.11. 297-302 (1988)
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[Publications] Hotta,M.;Shibasaki,T.,et al.: Life Sci.42. 979-984 (1988)
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[Publications] Shibasaki,T.,et al.: Life Sci.44. 431-438 (1989)
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[Publications] Shibasaki,T.,et al.: "Neuroendocrine control of the hypothalamo-pituitary system.Taniguchi Sympsia on Brain Sciences" Japan Scientific Societies Press, 151-157 (1988)