1988 Fiscal Year Annual Research Report
TRHのホスホリパーゼC活性化機構に関与するGTP結合蛋白質の構造と機能の解析
Project/Area Number |
62570529
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Research Institution | The Tokyo Metroplotan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
矢島 由紀子 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍細胞研究室, 主任研究員 (60090114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 博史 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部, 研究員 (70169704)
秋田 朗子 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部, 研究員 (40124432)
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Keywords | TRH / TRH受容体 / GTP結合蛋白質 / ホスホリパーゼC / イノシトール / IP_1 / IP_2 / IP_3 / PIP_2 / NaF / GTP / GTPγS / コレラ毒素 / 百日咳毒素 / ADPリボシル化 |
Research Abstract |
本年度はTRH受容体に連関するGTP結合蛋白質の実態を解明するためにこのホルモンが活性化するホスホリパーゼCを詳細に検討することにした。まずミオ-〔^3H〕イノシトールを標識したGH_3細胞においてTRHのリン脂質代謝回転に及ぼす影響を調べた。TRH(10^<-6>M)を添加して45秒後に細胞膜中のイノシトール1リン酸(IP_1)、イノシトールジリン酸(IP_2)、イノシトトールトリスリン酸(IP_3)の産生か1.9倍、8.6倍、2.6倍と上昇した。さらにミオ-〔^3H〕イノシトールを標識した本細胞の細胞膜を用いてリン脂質代謝に対するTRHの影響を見ると、TRH(10^<-6>M)は時間に依存してIP_2、IP_3の産生を3.1倍、2.4倍と著しく促進することがわかった。次に我々はポリイノシトールリン脂質のうち〔^3H〕フォスファチジルイノシトール4.5-ビスフォスフェート(PIP_2)を基質として本細胞の粗細胞膜を酵素液としてTRHのホスホリパーゼC活性を測定した。基質はホスファチジルエタノールアミンと1:10の割合の懸濁液として用いた。本酵素はCaイオンに依存して活性が促進された。NaF(10mM)やGTPγS(100μM)によっても活性が上昇した。TRHは単独でも弱い促進作用を示し、GTPないしGTPγSの存在によって対照の2.0倍、2.5倍まで活性を増強した。以上の結果TRHはGH_3細胞のリン脂質代謝回転を、特に膜PIP_2-ホスホリパーゼCを活性化することが明らかになった。世界的にみて、TRHが膜PIP_2-ホスホリパーゼC活性をGTP結合蛋白質を中介して促進することを示したのは我々が初めてである。我々は更にGH_3細胞の細胞膜を種々の細菌毒素(コレラ毒素、百日咳毒素)でADPリボシル化することにより膜ホスホリパーゼC活性がどのような影響を受けるか検討中である。また、ウシ下垂体からGTP結合蛋白質の抽出にも着手し、現在進行中である。
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[Publications] Yukiko Yajima,;Yoshiko Akita,;Toshikazu Saito.: Molecular Pharmacology. 33. 592-598 (1988)
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[Publications] 矢島由紀子: "研究年報" (財)成長科学協会, 165-172 (1988)