1988 Fiscal Year Annual Research Report
培養心房細胞における心房性Na利尿ペプチドの合成および分泌機構
Project/Area Number |
62570530
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平田 結喜緒 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (50135787)
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Keywords | 心房性Na利尿ペプテド / 培養心房細胞 / α_1交感作働薬 / ムスカリン性コリン作働薬 / イノシトール燐酸 / Cキナーゼ / エンドセリン |
Research Abstract |
培養ラット心房細胞を用いて心房性Naの利尿ペプチド(ANP)の分泌機構を検討した。心房細胞からのANP分泌はα-交感神経作働薬およびコリン作働薬により著明に促進したが,β-交感作働薬,バゾプレッシン,アンギオテンシンにより影響を受けなかった。α作働率およびコリン作働薬はそれぞれα_1およびムスカリン拮抗剤により抑制されることからα_1およびムスカリン性コリン受容体を介した機構である。一方Ca^<2+>イオノフォアおよびフォルボールエステルもANP分泌促進効果を持ち,両者の共存下では相乗作用を示したことから,ANP分泌機構に細胞内Ca^<2+>とCキナーゼが密接に関与していることが示唆された。また高Kuによる脱分極刺激および電伝依存性Ca経路アゴニストによりANP分泌は促進され,この効果はCa拮抗剤により抑制されたことからCa^<2+>流入もANP分泌機構に関与していることが示唆された。以上の成績からANP分泌機構に神経性因子(α_1とコリン系)が関与し,ぞれぞれ受容体活性代Ux后,共通の細胞内情報伝達系,すなわちイノシトール燐脂質代謝を介して生ずるイノシトール3燐酸とジアセルグリセロールがセカンドメッセンジャーとしてそれぞれ細胞内Ca遊出とCキナーゼの活性化を引き起こしANP分泌を促進するものと考えられる。最近ブタ血管内皮細胞で発見された血管収縮性ペプチド,エンドセリン(ET)は心房細胞からのANP分泌を用量依存性に促進した。この効果はCa拮抗剤により減弱されたがフォルボールエステルと相乗効果を示した。以上の成績からETはANP分泌の内因性アゴニストとして主にCa^<2+>流入を介して作用している可能性が示唆された。
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[Publications] Matubara,H;.Hirata.Y;.Yoshimi.H.;Takata.S.;Takagi.Y.;Umeda.Y.;Yamane.Y.;Inada.M: American Journal of Physiology. 255. H405-H409 (1988)
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[Publications] Hirata.Y.;Matsubara,H.;Fukuda.Y.;Yoshimi.H.: Journal of Hypertension. (1988)
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[Publications] Fukuda.Y.;Hirata.Y.;Yoshimi.H.;Kojima.T.;Kobayashi.Y.;Yanagisawa.M.Masaki.T: Biochem Biophys Res Commun. 155. 167-172 (1988)