1987 Fiscal Year Annual Research Report
造血細胞増殖因子の遺伝子を用いた正常造血機構および白血病発症機構の解析
Project/Area Number |
62570536
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 冬木 東京大学, 医学部(病), 助手 (30184493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 哲郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (80169135)
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Keywords | G-CSF / GM-CSF / ノーザン / ブロッテイング / ヒト固形腫瘍 |
Research Abstract |
造血細胞には種々の増殖刺激因子が作用し造血を促すことが知られている. 近年, ヒト顆粒球刺激因子(G-CSF), ヒト顆粒球・マクロファージ刺激因子(GM-CSF)のcDNAがクローニングされ, その解析が進んでいる. 我々はこのような造血細胞増殖刺激因子とヒト悪性新生物との関連を調べる目的で以下の実験を行なった. ヒトG-CSF及GM-CSFのcDNAをプローブとして, ヒト白血病・固形腫瘍の臨床検体より抽出したRNAについて, ノーザン・ブロッティングを行ない, その発現量を検討した. 神経膠芽腫一例, 肺癌二例, 成人T細胞性白血病一例にGM-CSF遺伝子の発現が認められ, これはヒト固形腫瘍で本遺伝子の発現が確認された最初の症例と考えられた. これらのうち, 神経膠芽腫と肺癌については, その細胞株が樹立されたが, その培養上清にはGM-CSF活性が認められ, 実際に転写されたGM-CSF遺伝子mRNAが蛋白質として翻訳され, 分泌されていることが示唆された. 本遺伝子を発現している腫瘍のDNAについてサザン・ブロッティングにて本遺伝子の再配列の有無を検討したが, 明らかな遺伝子再配列は明らかにされなかった. 従って, GM-CSFを発現させている機序は, より細かな突然変異, もしくは, transに作用する因子によるものと思われた. 次に, ヒトG-CSFcDNAをプローブとして同様な解析を行なった所, ヒト肺癌3例, 肝癌1例は発現を認めた. 肺癌の1例は, mRNAが他とは異なったサイズを示しており, 現在, その機構を解析中である.
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Research Products
(1 results)