1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570537
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本倉 徹 東京大学, 医学部, 助手 (00192823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 徹也 茨城県立中央病院, 内科医長 (00134601)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / 副甲状線ホルモン関連蛋白 / 高カルシウム血症 |
Research Abstract |
1.血液細胞株MT-2、CCRF-CEM、BALL-1、A-1、K562よりGT法および、Oligo(dT)column chromatographyでpoly(A)^+RNAを抽出し、Northern blotting analysisによって、各細胞株での副甲状線ホルモン関連蛋白(PTHrP)のmRNAの発現を検討した。PTHrPのN端およびC端塩基配列に相補する48塩基のOligonucleotideを作製し、probeとした。HTLV-1感染T細胞株であるMT-2のみにPTHrPのmRNAを検出したが、それ以外の細胞株には、その発現はみられなかった。各細胞株の培養上清をcAMP産生のassay系で検討したところ、MT-2のみにPTH様活性が検出され、RNAのデータと一致した。2.3例の成人T細胞白血病(ATL)患者の胸腹水やリンパ節の腫瘍細胞からGT法でtotalRNAを抽出し、同様に、Northern blotting analysisを行った。3例とも主要細胞では、MT-2に比較して、より多くのPTHrPのmRNAが検出された。さらに、高カルシウム血症をきたした2例の胸腹水をcAMP産生のassay系により検討したところ、hPTH(3-34)で抑制されるPTH様活性が検出された。そして腹水中のPTH様活性は、逆相HPLCでの挙動がMT-2のものときわめて類似していた。3.1および2の結果をふまえて、Expression cDNA libraryからXenopus Oocyteを用いてcDNAをスクリーニングすることを中止し、MT-2よりλgt10 cDNA libraryを新たに作製し、合成Oligonucleotideにて対応するcDNAをスクリーニングした。500万個から200個の陽性クローンが得られ、そのうち20個を解析したところ、既に報告されているPTHrPのcDNAとRestriction Map上同一であることが確認された。以上より、ATLにおける高カルシウム血症の主要な原因物質は、固形癌と同様にPTHrPであることが明らかになった。さらに、上皮系の細胞からクローニングされたPTHrPが、リンパ系の細胞より分泌され、一種のリンフォカインとして機能している可能性が示された。
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Research Products
(1 results)