1987 Fiscal Year Annual Research Report
白血病芽球細胞の分化へのcommitmentの生化学的差異の検討
Project/Area Number |
62570544
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 博義 京都大学, 医学部, 講師 (30093248)
|
Keywords | HL-60細胞 / K-562細胞 / 1α25(OH)_2D_3 / Retinoic Acid / Caイオン / Mgイオン / スタウロスポリン / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
顆粒球マクロファージ系への分化及び赤血球への分化に際し, それぞれの細胞内シグナル伝達にどの様なsecond messengerが関与しているかを知る為HL-60細胞, K-562細胞を用い各種分化誘導剤による分化を増強, 阻害する因子を検討した. その結果HL-60細胞の顆粒球マクロファージへの分化を惹起するiα25(OH_2O_3(O_3), Retinoic acid(RA)らの作用は, 培養液中のCa濃度の減少やTMB-8, 高濃度Vera pamilらの細胞内Ca動員の阻害剤, protein kinaseCを阻害するスタウロスポリンによって増強されることが判明した. 一方同酵素を阻害することが報告されているH-7はD_3やRAによるHL-60細胞の分化能を増強しなかった. これはH-7が上記酵素のみでなくCAMP dependent kinaseをも同程度に阻害する為ではないかと考えられる. 又TPAによるHL-60細胞の分化に対して, Ca濃度低下やスタウロスポリンは分化を増強しなかった. 従ってTPAによる分化には初期にprotein kinaseCの活性化が必要であることが示唆された. 一方K-562細胞のheminによる赤血球系への分化は上記のCa動員の阻害剤やスタウロスポリンで増強されない. 従ってこの両者では分化の細胞内シグナル伝達機構が異なっていると考えられる. 我々はまたMgイオン(Mg)を除去した培養液中で一定時間D_3やRAを添加してHL-60細胞を培養するとHL-60細胞は分化へcommitするが分化関連形質は発現しないことを見い出した. commitした細胞を分化因子非存在下にMgを含む培養液中に移すと分化関連形質が発現される. 従ってこの系を用いて分化の過程をcommitmentと分化形質発現の過程に分けることが可能である. 現在この過程別にHL-60細胞とK-562細胞の分化の差異を検討中である.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] TOSHIRO OKAZAKI: Journal of Cellular Physiology. 131. 50-57 (1987)
-
[Publications] TOSHIRO OKAZAKI: Exp. Hematol.16. 42-48 (1988)
-
[Publications] TOSHIRO OKAZAKI: Journal of Cellular Physiology.