1988 Fiscal Year Annual Research Report
白血病芽球細胞の分化へのcommitmentの生化学的差異の検討
Project/Area Number |
62570544
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 博義 京都大学, 医学部, 講師 (30093248)
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Keywords | K562細胞 / dbcAMP / H8 / OAG / Staurosporine / HL60細胞 / 蛋白合成 |
Research Abstract |
K562細胞の赤血球系への分化に於けるセカンドメッセンジャーの役割について検討しHL60細胞の分化時のそれと比較した。又HL60細胞の分化関連形質であるリゾチームmRNAの発現の様相について検討を加えた。本研究ではセカンドメッセンジャーの活性を修飾する薬剤としてdbcAMP、H_8、OAG、staurosporineを用いた。K562細胞をhemin(h)の4μMとOAG30ng/mlを加えて培養するとhのみに比しBenzidine(B)陽性細胞百分率の有意の増加が認められた。h添加K562細胞に対するOAGの分化促進効果はh添加後30分にOAGを加えると最大となった。このOAGの促進効果はDAF colorimetric法を用いても検出された。一方dbcAMP、stauaosporineは40μMhによるK562細胞分化を阻害し、H8はhによるK562細胞の分化に影響を与えなかった。K562細胞は又ActD、Ara-cらの薬品により赤血球系列に分化する。OAGはhの場合と異なり之等の分化誘導剤の効果は増強も阻害もしなかった。D_3によるHL60細胞の分化に対してもOAGは影響を及ぼさなかった。HL60細胞はD_3により単球/マクロファージに分化し、その過程でリゾチームmRNAの発現が生ずる。この際D_3と同時にCycloheximideを添加するとmRNAの発現が阻害された。上記の我々の結果は1)白血病細胞の分化誘導物質による分化の過程にはそれぞれ一定のセカンドメッセンジャー系の活性増加あるいは減少が密接に関係している。2)又分化へのcommitmentと分化関連形質の発現間には新しい蛋白合成のステップが必要であることを示唆している。現在、細胞分化時の細胞質リン酸化蛋白の二次元電気泳動上のパターンと細胞内分化誘導活性の同定をすすめている。
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[Publications] Okazaki,T.: Journal of Cellular Physiology. 134. 261-268 (1988)
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[Publications] Okazaki,T.: Experimental Hematology. 16. 42-48 (1988)
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[Publications] Tashima,M.: Acta Haematologica Jpn(日本血液学会雑誌). 51. 170-177 (1988)