1988 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球膜疾患におけるspectrin・cytoskeletonの分子異常の研究
Project/Area Number |
62570555
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
八幡 義人 川崎医科大学, 内科学, 教授 (70069011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 孝文 川崎医科大学, 内科学, 助手 (60203238)
神崎 曉郎 川崎医科大学, 内科学, 助手 (40148698)
橋本 正志 川崎医科大学, 内科学, 講師 (90148693)
杉原 尚 川崎医科大学, 内科学, 講師 (60140505)
山田 治 川崎医科大学, 内科学, 助教授 (50104790)
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Keywords | 細胞骨格 / スペクトリン / 赤血球膜異常 / 遺伝性楕円赤血球症 / 膜蛋白分画4.2 |
Research Abstract |
赤血球膜異常症の発見と、膜蛋白特にspectrinを中心とするcytoskeleton病態の立場から、その分子異常の解析を行った。 (1)赤血球膜異常症の検索: 本年度末までに検索を完了した赤血球膜異常症は、先天性症例250例、後天性症例65例で、計315例となった。このうち、遺伝性球状赤血球症は102例、遺伝性楕円赤血球症49例、遺伝性有口赤血球症33例、膜脂質異常症28例、その他であった。これらの症例の中から今年度はこれらの諸症例の病態検索に加えて、特に、次の2疾患について、集約的に研究を行い、以上の成績を得ることができた。 (2)膜蛋白分画4.2欠損症の病態研究: 本症は日本人に特異的と考えられるに至った疾患で、今年度に4症例を発見し、検索に供した。この膜蛋白分画4.2欠損症は中等度の溶血性貧血を呈し、膜輸送能の中等度亢進、赤血球の物性としての変形能の著しい低下を認め、臨床的に重要な疾患であることが判明した。現在、抽出膜蛋白分画4.2を用いて作製した抗4.2抗体によってimmunoblot法を施行したところ、免疫化学的には本蛋白の存在を認め、しかも一部の症例で異常分画を発見したことから、今後、本蛋白の遺伝子解析をすすめる予定である。 (3)遺伝性有口赤血球症(HSt)の臨床血液学的、生化学的病態検索: 本疾患症例33例を用いて検索したところ、本疾患は3群に病型が分類しうることが判明した。第1群はhydrocytosisであり、Na influx著増に代表される膜転入能の亢進群で、第2群はNa転出能亢進を特徴とする群で、一部の症例では典型的なdesiccytosis(dehydrocytosis)を示した。第3群は、著明な有口赤血球を呈しながら、膜輸送能は正常成績を示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yawata,Y.: Acta Haematologica Japonica. 51. 1360-1371 (1988)
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[Publications] Kanzaki,A.;Ikeda,A.;Yawata,Y.: British Journal of Haematology. 70. 105-112 (1988)
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[Publications] Yawata,Y.;Kanzaki,A.;Ata,K.;Wada,H.: Journal of Cellular Biochemistry. 13. 232 (1989)
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[Publications] Wada,H.;Suda,T.;Miura,Y.;Kajii,E.;Ikemoto,S.;Yawata,Y.: Journal of Cellular Biochemistry. 13. 224 (1989)
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[Publications] Ata,K.;Kanzaki,A.;Yawata,Y.: Journal of Cellular Biochemistry. 13. 228 (1989)
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[Publications] Ohsaka,A.;Kano,Y.;Sakamoto,S.;Kanzaki,A.;Hashimoto,M.;Yawata,Y.;Miura,Y.: Acta Haematologica Japonica. 52. 7-17 (1989)
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[Publications] 八幡義人: "「遺伝性楕円赤血球症の病態とCytoskeleton異常」Annual Review 血液 1988" 中外医学社, 15 (1988)
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[Publications] 八幡義人,神崎曉郎: "「有口赤血球症と膜輸送の病態」Annual Review 血液 1989" 中外医学社, 26 (1989)