1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570565
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲本 俊 京都大学, 医学部, 助手 (10135577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淀井 淳司 京都大学, 医学部, 助手 (80108993)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / 肝細胞増殖 / 増殖抑制因子 / 上皮増殖因子(EGF) |
Research Abstract |
1.成人T細胞白血病ウィルス(HTLV-1)陽性白血病株ATL-2の培養上清中にin vitroのラット肝細胞の上皮増殖因子(EGF)依存性増殖を抑制する(細胞数の増加も^3H-TdRの取り込みも同様に抑制する. )活性が存在し, Sephacryls-200のゲル濾過にて分子量1万5千から4万の間に回収され, DEAE-3SWカラムにて, その活性ピークは同時に存在するIL-2receptor誘導因子(ADF)の活性ピークと分離した. 我々はこの因子をHepatocyte growth inhibitory factor(HGI)と仮称した. 2.HGIの抑制活性は濃度依存性で, どの濃度のEGFに対する増殖も同様に抑制した. 抑制様式はcytostoticで, ^<125>I-EGFを用いた結合試験でHGIはEGFの肝細胞への結合を阻害せず, affinityを変化させることもなかった. また, ヒト肝癌細胞株PLC/PRF/5の自然増殖およびEGFにより増強される増殖のいずれに対してもHGIは抑制効果を示さなかった. 3.他のT細胞白血病株の培養上清中にもHGIの活性がみられるが, その活性はHTLV-1の感染の有無に関連せず, ADFの活性に相関した. 4.IL-2やγ-InterferonさらにはIL-2receptorを増加させるIL-1αには肝細胞増殖抑制作用はみられなかったが, Transforming growth factor-β(TGF-β)には強い抑制活性がみられた. しかし, ATL-2の培養上清は酸処理をしないとTGF-β活性が発現しないところから, HGIとTGF-βは異なるものと考えている. 5.これらの結果を踏えて, HGIをさらに精製し, 物理化学的性質を同定して, TGF-βとの異同を明らかにすること, HGIの肝細胞増殖抑制の機序を解析する研究計画を実行中である.
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