1988 Fiscal Year Annual Research Report
肝虚血障害における活性酸素を利用した新しい肝腫瘍治療法の開発
Project/Area Number |
62570586
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
浅川 全一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80125393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宏一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90133834)
草野 満夫 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70091569)
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Keywords | 活性酸素 / Xanthine Oxidase / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
ウサギ大腿部移植VX_2腫瘍に対し、Hypoxanthine-Xanthine Oxidase反応で発生させた活性酸素の抗腫瘍効果につき検討した。移植腫瘍は径が2cm以上になると中心壊死が見られ効果判定ができなくなるので、径が10〜20mmになった時点で実験に供した。血管撮影による薬液の至適動脈ルートの検討では、腫瘍血管は大腿動脈から直接分岐したものが主であり、担癌肢側にはカニュレーションできる適当な動脈枝がないので、健常側の大腿動脈を切開カニュレーションし、その先端を担癌肢の総腸骨動脈分岐部に留置し、担癌肢の血行障害のないよう配慮した。Hypoxanthine,Xanthine Oxidase反応は瞬時に進行し、活性酸素(O_2^-)を発生するので動脈注入部直前にチャンバーを間置し、これにHypoxanthine,Xanthine Oxidaseを別々に注入、反応させるよう配慮した。濃度はHypoxanthine 28mg/100ml、Xanthine Oxidase 8.4U/100mlとなるようphosphate buffer salineで希釈した。注入速度は各々0.11ml/minとし60分間注入した。対照群はphosphate buffer salineを注入した。注入前、注入終了24時間後に腫瘍の長径(a)と短径(b)を計測し、腫瘍体積をV=a・b^2で計算し比較した。また組織学的検討も行った。 〔結果〕推定腫瘍体積は、実験群,対照群とも変化がなかった。組織学的検討では対照群ではViableな腫瘍細胞が塊状に融合して見られたが、実験群では多核白血球の浸潤を伴う広範な壊死巣を認めViableな腫瘍細胞は小集塊とし島状に散在するのみであった。 〔考察〕組織が壊死に陥り腫瘍径の縮小となって表れるには、相当の時間を要するものと思われた。組織学的検討では、Hypoxanthine,Xanthine Oxidaseの抗腫瘍効果が見られたが、これを発生した活性酸素による効果とするためには、O_2を消去する作用を持つSuperoxide Dismutase併用で腫瘍効果が失われるかなどの検討が必要と思われた。
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