1987 Fiscal Year Annual Research Report
モノクローナル抗体による家族性大腸ポリポージスの診断および癌化過程の解析
Project/Area Number |
62570599
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
坂本 忍 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (80107317)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 良平 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (00013912)
|
Keywords | 家族性大腸ポリポージス / DNA合成系酵素 / チミジン・キナーゼ・アイソザイム / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
家族性大腸ポリポージスは, 常染色体優性遺伝性の家族性疾患で, 高率に大腸癌が発生する. 癌化の過程を知るうえで貴重な疾患とも言える. 我々は, ヒト正常大腸粘膜には存在しなかったDNA合成系酵素チミヂン・キナーゼ(TK)の特異なアイソザイムが, 大腸癌細胞では顕著に誘導されていることを報告した. また, 大腸癌患者で, 臨床病期ステイジVおよび再発症例, 殊に遠隔転移を伴う症例において, 血中TK活性が高値を示すことも報告した. 以上の結果, ヒト大腸癌細胞から分離精製した特異なTKアイソザイムのモノクローナル抗体の必要性が生じてきた. 本研究補助金の助成により, ヒト大腸癌細胞から分離したこの特異なTKアイソザイムのモノクローナル抗体をハイブリドーマ法により作製開始した. このTKアイソザイム抗体は他の大腸癌TKアイソザイムとは交叉反応を示さず, また, 乳癌, 甲状腺癌など他の腺癌から分離したTKアイソザイムとも交叉反応を示さなかった. しかし, ヒト大腸癌細胞から分離した特異なTKアイソザイムとは交叉反応を示し, 酵素活性の抑制が認められた. しかしながら, 本抗体は力価が小さい為か, マウス腹腔内投与後の腹水からの精製にもかかわらず, その後の実験には仲々進展が認められなかった. そこで, 現在, 別の新しいヒト大腸癌細胞から分離精製したTKアイソザイムを抗原として, 抗体を作製中である.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Shinobu Sakamoto: Carcinogenesis. 5(2). 183-185 (1984)
-
[Publications] Shinobu Sakamoto: Carcinogenesis. 6(6). 917-919 (1985)
-
[Publications] 坂本忍: 核医学. (1988)
-
[Publications] Shinobu Sakamoto: "Familial Adenomatous Polyposis(発表予定)"