1988 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核DNA解析からみた食道癌、胃癌の悪性度分類に関する研究
Project/Area Number |
62570601
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 乙雄 新潟大学, 医学部, 講師 (50134929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 力 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (40183420)
佐々木 公一 新潟大学, 医学部, 講師 (90111715)
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Keywords | 食道癌 / 悪性度 / DNA分析 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
食道癌切除固定標本のパラフィン包埋ブロックを用い、フローサイトメトリーにて癌細胞核DNA量の測定を112例に対して行い以下の知見が得られた。 1.DNAヒストグラムのパターンより、以下の4群に分類が可能であった。TypeA:左右対称の一峰性でDNA index(D.1)=1.0 euploidと考えられるもの。Type B:一峰性で左右非対称のもの。Type C:firstpeakの右肩にsecond peakの出現をみるもの。Type D:明らかな二峰性を示すもの。またType B・C・Dはabnormal stemlineを有していると考えられaneuploidy群として一括検討した。 2.病理組織学的深達度、リンパ筋転移、脈管侵襲とDNAパターンとの間には有意の関連性は認められなかった。 3.組織型との関連においての偏平上皮癌の低分化型でaneuploidy群の占める割合が高分化型、中分化型に比して有意に高率であった。 4.術後遠隔成績との関連では、euploidy群の5年生存率65.5%に対しaneuploidy群では4年生存率15.7%と有意の低下を認めた。 5.組織学的進行度別に両群間の術後遠隔成績を比較するとstage0.12症例の再発死亡例はすべてaneuploidy症例であり、いずれの進行度においてもaneuploidy群の予後は不良であった。 6.癌細胞の核DNA量は、癌腫発生時点より一定量を有し癌固有の性格(悪性疫)を反映するものと考えられた。 7.DNAパターンによる分類はその予後を推測する一因子として臨床上有用であり、従来の病理組織学的所見に加味する事により再発の危険性の高い症例を予測することが可能であり、術後の集学的治療選択の基準となり得るものと考えられた。
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Research Products
(1 results)