Research Abstract |
1)ヒト閉塞性黄疸時の血中β-Endorphin様免疫活性(以下End)は, 7.55±3.44pmol/l(非黄疸:20.7±10.3pmol/l)であった. 2)ラット閉塞性黄疸時の血中End(u=6)は, 末梢血濃度:黄疸1日88.8±9.0, 3日73.6±9.7, 5日636.±31.7pmol/l, 内腺血濃度:それぞれ62.6±7.6, 50.6±10.5, 51.9±8.9pmol/lであった(非黄疸:末梢血82.4±5.4, 内腺血681.±5.8pmol/l). 肝機能検査では, 血中TB値は黄疸3日目7.0±1.8pmol/l, GPTおよびLDH値は黄疸1日目にそれぞれ276±75IU/l, 787±183IU/lの頂値を示し, その後GPT, LDH値ともに減少し肝機能不全状態が認められ, 血中Endも末梢, 内腺血ともに低下傾向が観察された. しかしながら, 非黄疸との間には有意の差は認めなかった. 3)腸管組織内濃度は, 前胃:8.30±1.41, 後胃:7.01±2.12, 十二指腸:25.7±7.4, 上部小腸:17.0±1.0, 下部小腸:6.67±1.97, 結腸:5.30±1.46pmol/mgでEndは十二指腸および上部小腸で高く認られた. 十二指腸抽出物をSephadex G-50 S.F.(0.1H, ACUH, 2X95cm)を用いたゲルの3過では, 合成β-Endorphinと同一のpeak(No.39, 4ml/Fr)を認め, それより前のフラクションにも溶出peakが認められ, 大分子型の存在が示唆された. 4)水浸拘束実行:20°C6時間の水浸拘束を行った. a)対照群:44.1±13.2, ナロキソン(Na)投与群:51.0±12.9, Na(+)+β-Endorphin(200rg/lcg, 2時間毎IV)群:29.6±9.0, b)対照群:60.1±13.7, 黄疸群:34.2±12.5, 黄疸+Na(+)群:29.8±14.7(数値は潰瘍係数). 非黄疸群においては, Na投与で潰瘍の増強が, またβ-Endorphin投与により軽減することが観察された. 閉鎖性黄疸時は, 血中β-Endorphin様免疫活性は低値を示すもののβ-Endorphinの潰瘍形成抑制効果が示唆された.
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