1987 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌に対する肝移植後の免疫抑制を癌の進展との相関に関する検討
Project/Area Number |
62570615
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
都築 俊治 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80051192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 篤 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20171150)
中安 邦夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40180426)
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50142419)
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Keywords | 肝癌の進展 / 肝移植 / 移植免疫抑制 |
Research Abstract |
目的:肝切除不能の肝癌患者の救う唯一の治療法として肝移植に多大の期待が寄せられているが, 肝移植の臨床報告では術後の免疫抑制によって癌の発育が促進され, 再発, 転移が高率に発生することが報告されている. そこで免疫抑制剤の肝癌に対する影響を検討するため, 本年度は二つの肝腫瘍モデルの確立を試みた. 方法:A.DABによる肝癌モデル ウィスター系ラット(4週, b^^〓, 100g)に0.06%DAB飼料(日本クレア製)を10〜20週間投与し, 屠殺1時間前にBrdU20mg/kgを腹腔内に注入し, 開腹して肝, 肺などの組織をアルコール固定した. 固定後にパラフィニ切片を作成し, HE染色を行った. またBrdUに対するモノクロナール抗体によるABC法によってlabelling indexを算定する予定である. B.ラット肝癌細胞株(H-35)による肝転移モデル ラット由来の肝細胞癌株であるH-35を10%牛胎児血清を含むDMEM培養液で培養し, 増殖させた後, ウィスター系ラット1匹につき約1×10^7ケのH-35を開腹して門脈から注入した. 注入後12週目に屠殺し, 肝, 肺などを取り出し, アルコール固定後HE染色を行った. 結果:A.DABを10週間投与したものでは肉眼的にも組織学的にも肝癌は認められなかった. 20週間投与した群では全例に肝にびまん製の癌組織が認められたが, 腹膜や肺への転移はみられなかった. B.ウィスター系ラットにH-35を門脈から注入し, 12週目に屠殺し, 肝, 肺を肉眼的, 組織学的に検討したが, 癌組織は認められなかった. 結論:DAB投与10週では肝癌の発生がみられなかったが, 20週では認められた. またH-35の門脈内注入では肝転移はみられなかった. 以上のモデルを用い, 今後CyclosperiuAの投与によって肝癌の発育, 再発, 転移がどのような影響を受けるか検討する.
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