Research Abstract |
1. 基礎研究 正常ラット血中フィブロネクチンの測定, 肝切後血中フィブロネクチンの変動をみると, 正常ラット血中フィブロネクチン量は88±8.9μg/ml(mean±SD)で, 正常ラット70%肝切後, 第1日目, 3日目, 5日目, 7日目のフィブロネクチン量は, 3日目80±6.8μg/mlと低値となり, 5日目83±5.7μg/mlと上昇し, 7日目88.5±8.7μg/mlと正常値に回復した. 肝再生の指標としてDNA合成能を測定し, 肝再生率(再生肝重量/予測肝重量×100)及び^3H・Thymidine up takeをみると, 肝切後5日目より肝重量の増加とDNA合成能の増加を認め, 7日目には肝再生は完了し, 肝再生率とDNA合成能とは相関関係が認められた. 今後は, フィブロネクチン投与により, 肝再生率, DNA合成能の促進がみられるか否かを検討し, 更に, 肝硬変ラットにおいても同様に検討する. 2. 臨床研究 肝癌および肝内結石症に区域切除以上の肝切除を行なった症例に対し, 術前, 術後のフィブロネクチンの変動をみると, 術前, 非硬変肝患者血中フィブロネクチン量に比し, 肝硬変合併患者ではフィブロネクチン量が低く, フィブロネクチンの肝切後のフィブロネクチンの変動をみると, 肝切後3日目〜4日目に術前値より有意に低下し, 5日目より上昇, 7日目にはほぼ術前値に回復した. CTによる再生肝の容積より肝再生率を(術後1ケ月〜6ケ月)みると, 硬変合併症例は, 非合併症例に比し, 肝再生率は低い傾向にあった. 今後, CT画像よりの肝再生率と血中フィブロネクチンの相関性を検討するとともに, 基礎実験データよりの肝再生率と血中フィブロネクチンの相関性を検討するとともに, 基礎実験データより, 肝切後, cryoprecipitate(フィブロネクチン)投与による肝再生の影響を検討する.
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