1987 Fiscal Year Annual Research Report
移植ヒト気管支上皮の発癌モデルの作成と肺癌早期診断への臨床応用の可能性について
Project/Area Number |
62570630
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
馬場 雅行 千葉大学, 医学部, 助手 (00143305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 久美 千葉大学, 医学部, 助手 (80191211)
木村 秀樹 千葉大学, 医学部, 講師 (10161572)
藤沢 武彦 千葉大学, 医学部, 助教授 (80110328)
山口 豊 千葉大学, 医学部, 教授 (80009448)
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Keywords | ヒト気管支上皮細胞 / 発癌 / invivo / invitro |
Research Abstract |
肺癌の早期診断に応用するために肺の発癌過程を経時的観察する目的でヒト気管支上皮細胞を用い発癌剤暴露実験を行った. 1才未満の突然死乳児症例の剖検により非癌症例からの気管, 気管支を得, また, 当科において切除された肺より担癌患者の気管支非癌部分あるいは非癌成人気管支を採取した. これらの標本の組織培養により大量のヒト気管支上皮細胞を得ることに成功した. 培養法は米国NIHのDr,Lechnerに方法に準じ, 培養液はわれわれがDr.Klein-Szanto(米国, Fox Clnase Cancer Center)との共同研究により開発したACB-1を用いた. ACB-1はウシ胎児血清を1.25%含有するもので繊維芽細胞の発育を抑制し気管支上皮細胞の増生を促進するすぐれたものであった. 約2週間で培養四上の気管(支)片から気管支上皮細胞が遊出し, これらの細胞を採取してあらかじめ摘出して上皮を脱落させておいたラット気管内に注入し, 両端を閉鎖してヌードマウスの背部皮下に移植した. 4週間后にはヒト気管支上皮細胞はヌードマウス皮下のラット気管の内腔も増生して内面を覆い, 組織学的には線毛円柱上皮として分化しており, 以後6ケ月までの観察ではほとんど正常の気管支上皮を形態学的には維持することが可能であった. この結果は乳児由来, 担癌成人由来, 非担癌成人由来いずれの材料を用いても可能でありわれわれの培養液と培養法は非常に有用と考えられる. また, このヒト気管支モデルに発癌剤を作用させるためにbceswax(蜜ロウ)に発癌剤を混合し, 特製のペレットメーカーを用いて発癌剤ペレットを作製した. このペレットは約4週間で90%以上の発癌剤を放出する比較的放出速度の遅いものであった. ヒト気管支上皮細胞を注入しヌードマウスの背部皮上に移植して4週間経過した気管支モデルの内腔にこのペレットを挿入し, 現在暴露中である. 今后経時的に屠殺し上皮の変化を観察する方針である.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Masayuki BABA, Takeshi OBARA, R.Daniel BONFIL, Yutaka YAMAGUCHI, Benjamtn F. TRUMP, James RESAU, Andres J.P.KLEIN-SZANTO: Japanese Journal of Cancer Research (GANN).