1988 Fiscal Year Annual Research Report
人工弁置換後の血栓予防と血栓弁の早期検出法に関する研究
Project/Area Number |
62570632
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Research Institution | Niigata University School of Medicine |
Principal Investigator |
江口 昭治 新潟大学, 医学部, 教授 (90018367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 憲 新潟大学, 医学部付属病院, 医員
中沢 聡 新潟大学, 医学部付属病院, 医員
土田 昌一 新潟大学, 医学部付属病院, 医員 (20227383)
林 純一 新潟大学, 医学部, 助手 (30164940)
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Keywords | 血栓塞栓症 / 抗血小板剤 / 血小板凝集能 / 血栓弁 / 人工弁閉鎖音周波数スペクトラム特性 |
Research Abstract |
昭和63年度の研究によって得られた主な知見は以下の通りである。 (1)昨年度にひき続き、人工弁置換後、ワーファリンとともに抗血小板剤を投与する症例を増し、抗血小板剤投与例とで、血栓塞栓症発意率の差異を比較検討した。統計学的に意味ある母集団の揃ったSJM弁による僧弁置換例について検討すると、ワーファリン単独群が93例で観察期間434患者、年に6回の血栓塞栓症が発生した(1.38%/pt-year)のに対し、抗血小板剤併用群では27例で108患者年の観察で、まったく発生を認めなかった。これは重要な臨床的結果であるが、有意水準をP=0.05とすると、有意差を認めなかった。 (2)臨床的に血栓塞栓症の予防が可能で、かつ出血の危険が近いように血小板機能を抑制する指標として、最大凝集率をADP10μMで30〜50%、コラーゲン2μg/mlで20〜40%と仮設定して、抗血小板剤の投与量を調節した。この目標のもとで行うと、前述した如く、血栓塞栓症の発生をみなかった。また、血小板凝集の抑制不足のため、これらの目標値より上昇した場合には、一過性脳虚血発作を呈する例を認めた。 (3)血栓人工弁の検出を目的とした人工弁閉鎖音周波数スペクトラム解析は、まず正常人工弁について行なわれた。この結果、人工弁は固有の周波数特性をもった音を発し、これを伝播する媒体の性質により、特定域の周波数成分が吸収されることが明らかとなった。実際のヒト体表面で音を採取すると、SJM弁では1.2KHz付近の成分が残り、周波数の高い成分はなだらかに減衰していた。更に手術にて血栓弁と確認された例を含む3例の異常例を正常例と比較すると、いずれけも1カ所の周波数域の強い減衰を認め、深いdipを形成していた。この特徴はSJM弁における血栓弁の診断上、重要な意義を要すると思われた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 藤田康雄 他: 人工臓器. 16. 159-262 (1987)
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[Publications] 中沢聡 他: 日本心臓血管外科学会雑誌. 17. 177-179 (1987)
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[Publications] Miyamura Haruo etal: J.thoracic Cardiovascular Surgery. 94. 148-150 (1987)
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[Publications] 中沢聡 他: 日本心臓血管外科学会雑誌. 16. 498-500 (1987)
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[Publications] 藤田康雄 他: 人工臓器. 17. 1133-1136 (1988)
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[Publications] 藤田康雄 他: 人工臓器. 18. 694-697 (1989)