開心術々後肝不全の発生機序とその早期診断に関する研究

1987 Fiscal Year Final Research Report Summary

• Project/Area Number: 62570636
• Research Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
• Allocation Type: Single-year Grants
• Research Field: Thoracic surgery
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 松田 暉 大阪大学, 医学部, 講師 (00028614)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 大久保 修和 大阪大学, 医学部付属病院, 医員 ; 大谷 正勝 大阪大学, 医学部, 助手 (90168980) ; 中埜 粛 大阪大学, 医学部, 講師 (70028653)
• Project Period (FY): 1987 – 1988
• Keywords: 開心術 / 肝障害 / 肝静脈血酸素飽和度 / 肝静脈カテーテル

Research Abstract

先天性心疾患14例, 後天性心疾患14例, 系28例の開心術症例に対し, 体外循環終了後に経右房的種類は直接肝静脈にカテーテルを挿入した. 術後24時間以上カテーテルを留置し, 経時的に肝静脈血の採血を行い. 肝静脈液ガス・乳酸値・ピルビン酸値を測定した. また肝機能の指標(GOT, GPT, LDH, T-BilmGOT, GLDH)等を連日測定した.
その結果, Fantan型手術症例5例を含む10例において術後早期から肝静脈血酸素飽和度(ShvO_2)の異常低下がみられ, ShvO_2が最も低値をとった24時間における平均値(mShvO_2)は30%以下であった. これら10例全例にGOT, GPT>100U/1LDH>1,000U/1, T-Bil>2.0mg/dlに上昇する急性肝障害が発生しmShvO_2とGOT, GHT, LDH, T-Bilの最高値の間に有意な負の相関を認めた. また動脈血と肝静脈血の乳酸, ピルビン酸値より算出したsplanchnic excess lactate(spXL)は概ね生の値を示し, mShvO_2とspXLの平均値との間に負の相関を認めた. 他の18例ではShvO_2は40%以上で, 著しい肝障害は認められなかった. 血行動態とShvO_2との検討では, 低心拍出量と高中心静脈圧がShvO_2の低下に有意に関与していた.
以上より関心術後急性急性肝障害を来した症例においては, 肝の低潅流による肝の低酸素状態が生じていることが明らかになった. すなわち開心術後急性肝障害の発生は肝循環動態の悪化が原因であり, 障害発生の早期指標として肝静脈カテーテルを用いて測定するShvO_2が有用であると考えられた.

Research Products

• [Publications] 高野弘志: 日本外科学会雑誌. 88. 1513- (1987)
• [Publications] 松田暉: 日本胸部外科学会雑誌.
• [Publications] 高野弘志: 日本心臓血管外科学会雑誌.