1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570642
|
Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
大原 務 自治医科大学, 医学部, 助手 (40152235)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武 彰 自治医科大学, 医学部, 助手 (90192161)
福島 鼎 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90049023)
長谷川 嗣夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (30048954)
|
Keywords | 血管吻合 / グルタイド / 吸収性スプリント |
Research Abstract |
動脈及び静脈において簡便で迅速な血管吻合法の開発を追求し、その技術を完成させた。吸収性スプリントは、グリコール酸と乳酸を80対20の割合で共重合させ、直径は3〜6mm、厚さ0.3〜0.5mmの円筒状に成形したものを用いた。吻合する血管をスプリント内に通し、反転させ、その上に対側の血管を被せ、鉢巻き状に一針縫合を行うという吻合手順を完成させた。そして雑種成犬にて血管吻合実験を行った。更に基礎的実験の後、本年度は血管吻合における手縫い吻合との相違を、次の実験群で組織学的に比較検討した。A:頚静脈自家静脈グラフト移植群(11頭):頚静脈を3cm切除して対側頚静脈に移植した。中枢側をグルタイド吻合、末梢側を手縫い吻合をおこなった。B:頚動脈切断再吻合実験(13頭):頚動脈を一度切断してグルタイド吻合を行った。コントロールとして対側頚静脈を切断して手縫い吻合を行った。術後1ケ月〜6ケ月目に血管造影を施行し、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡による病理組織学的検討を行った。 この結果、初期の頃に発生した縫合不全は皆無となり、手技が一定して成績も安定し、血管吻合の内膜形成を検索するのに耐えうる所見が得られた。静脈吻合、動脈吻合それぞれに於て、吸収性スプリントを用いた吻合で、手縫い吻合法と比べ、内膜の形成が良好かつ滑らかで、吻合部の内膜形成が極めて良好に行われることが示唆された。 臨床応用をめざした実験として、体外循環を用いない冠動脈バイパス術を試みた(5頭)。心拍動下に左内胸動脈を回旋枝に端々吻合した。6ケ月以上の長期生存は1頭のみであったが、技術的には臨床応用も充分可能と考えられた。
|