1987 Fiscal Year Final Research Report Summary
悪性脳腫瘍に対する腫瘍壊死因子(TNF)の抗腫瘍効果に関する基礎的研究
Project/Area Number |
62570647
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cerebral neurosurgery
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中川 邦夫 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40092077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能勢 忠男 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10009699)
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Project Period (FY) |
1987 – 1988
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / 腫瘍壊死因子(TNF) / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
悪性脳腫瘍に対する腫瘍壊死因子(TNF)の抗腫瘍効果を検討する目的で実験を行い, 昭和62年度中に次の結果を得た. 1.フィッシャー344ラットに, 一次刺激剤としてOK432, 二次刺激剤として大腸菌エンドトキシンを静脈内投与することによって, TNFを含む血清(TNS)を作成した. 2.ラットTNSのin vivoでの抗腫瘍効果を検討した. 同系のラット脳腫瘍9Lを脳内に接種し, 1日目, 4日目に0.5mlのTNSを静脈内投与した群(n=9)では29.9±12.6日の生存日数であった. これに対して, 正常ラット血清(NRS)を投与した群(n=8)では20.8±4.4日であり, 有意に生存日数を延長させた(P<0.05). 3.ラットTNSのin vitroでの抗腫瘍効果について検討した. 50%のTNS添加群では, NRS添加の対象群に比して有意に(P<0.005)細胞障害性が増加した. また細胞増殖抑制効果も示した. いづれの効果も, 3日目, 5日目, 7日目まで認められた. 4.ラットTNSのpartial purificationを行った. カラムはDEAE-セファデックスA50とセファデックスG200を用いた. その結果, 第4分画が9LおよびL929細胞のTNF感受性クローンであるL(S)細胞に高い細胞障害性を示したが, 抵抗性であるL(R)細胞には全く影響を与えなかった. またTNSの他の分画やNRSはいづれの細胞にも障害性を示さなかった. 以上の結果から, TNFの存在が強く示唆された. しかしながら, TNFは副作用が大きいと考えられているので, 投与方法, 投与量など慎重な検討が必要である. 最近は遺伝子操作によるγecombinantヒトTNFも作成されているので, 今後はヒトTNFを用いて検討を行いたいと考えている.
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[Publications] 中川邦夫,能勢忠男,牧豊,秋田靖典,坪井康次: Neurologia medico-chirurgica. 27. 929-934 (1987)