Research Abstract |
現在までに研究代表者は, 内頚動脈中心枝, 中大脳動脈分枝についての研究を行ない, その成果を発表してきた(米国フロリダ大学脳神経外科およびNIH, Grant 10978-03). 昭和62年度は, 脳底動脈, 後交通動脈, 後大脳動脈の中心枝について, その数, 親血管からの分岐する部位, 潅流領域, 分布の特徴等に関して, 諸関連学会で発表してきた(脳卒中の外科国際シンポジウム, 第8回ヨーロッパ脳神経外科学会, 第15, 16, 17回日本神経放射線研究会, 第11, 12回日本脳卒中学会総会, 第45回日本脳神経外科学会総会). その結果を要約すると下記の様になる. 1.脳底動脈からは20本の中心枝が分岐した. その内訳は, 下方1/3から5本, 中1/3から8本, 上方1/3から7本であった. 下1/3の枝は盲管, VII, VIII神経, 中1/3の分枝は矯正中, 内側, 外側, V神経に分布した. 上1/3の枝は脚間窩, 上小脳脚に分布した. 2.後交通動脈は8本の分枝を有し, 主に灰白隆起(5本), 後有孔質(2本)に分布した. 脳下垂体へは, 1本以下の枝が分布していた. 3.後大脳動脈近位部(P-1)は, 4本の分枝を有し, そのうち3本が穿通枝で脚間窩に, 1本が回旋枝で四立体に分布していた. 4.これらウィリス動脈輪の中心枝の検討の研究成果の一部は, 「脳下垂体に分布する動脈の外科解剖(英文)として発表した. 5.昭和63年度は, 脳底動脈, 後交通動脈, 後大脳動脈の各々の分枝の潅流域に関して, 注入鋳型標本等の方法を用いて, 更に正確かつ詳細に検討したい.
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