1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570655
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 信夫 京都大学, 医学部, 講師 (40135570)
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Keywords | 脳動脈瘤 / 実験的動脈瘤 / 内膜肥厚 / 頸動脈結紮 |
Research Abstract |
SD系ラット40匹を腹腔内麻酔下に一側総頸動脈結紮, 両側腎動脈後枝結紮を行い, 1週間後より1%NaClを飲料水として投与し, さらにβ-Aminopropionitrleを0.12%の割合で食餌に混じて投与した. さらに4週間後に20匹(実験群)を麻酔下に反対側総頸動脈結紮で行った. 他の20匹は対照群とした. さらに4週間後に両群全例でグルタルアルデヒドで灌流固定し, 脳低部脳血管を剥離, 摘出後, 本動物モデルにおける脳動脈瘤始発部位である前大脳動脈-嗅動脈分枝部をオスミウム酸で後固定後, エポンに包埋して, 1μの切片を作製し, 染色後顕微鏡下に比較検討した. (結果)対照群頸動脈非結紮側では血管分枝部内膜把厚の遠位部に軽度の陥凹から, 血管内腔の壁内陥入, さらには小動脈瘤として血管壁の外膜側への膨隆に至るまでのまさざまな脳動脈瘤初期変化を認めた. 対照群結紮側ではこれらの動脈瘤初期変化病巣はほとんど認められなかった. 実験群においては12例において, 対照群動脈瘤発生部位に相当する部位に軽度から著しい内膜把厚を認めた. うち3例においては明らかな動脈瘤膨隆内側面が内膜把厚によって埋られていた. 他の8例においては明らかな内膜把厚は認められなかった. この新たな頸動脈結紮によって生じた新たな内膜把厚は主に筋細胞様細胞成分と無構造ヒアリン様物質であった. (結論)脳動脈瘤誘発動物モデルにおける動脈瘤発生側の頸動脈結紮を行うことによって動脈瘤発生部位における内膜把厚を認めたが, これはhemodynamic stressを減することにより, 一種の修復過程が出現し, 動脈瘤発生に対して阻止的に働いていることを示している. (今後の展開)このエポン包埋標本を電顕的に検索し, 内膜把厚の構成成分で明らかにするとともに, 他の因子による動脈瘤発生阻止過程を同様の方法で実験遂行中である.
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