1988 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ患者における免疫動態ー併用薬剤とBRMの選択・使用方法
Project/Area Number |
62570656
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 恵司 大阪大学, 医学部, 助手 (50162699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 徹 大阪大学, 医学部, 講師 (20135700)
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Keywords | 脳腫瘍 / インターフェロン / 抗ケイレン剤 / BRM / IAK |
Research Abstract |
免疫学的に特殊な部位であると考えられていた脳実質内にも、マウスIa抗原やヒトHLADR抗原が存在することから、免疫応答が生じる可能性が示唆されるようになった。そこで、グリオーマ患者における免疫応答機能の低下の有無を調べる目的で、患者の未梢リンパ球からのインターフェロン産生能を調べた。Kaphofsky scaleが80%ある比較的状態の良い患者でも、リンパ球からのインターフェロン産生能は極端に低下していることがわかった。また、臨床でよく用いられているニトロソウレア系制癌剤であるACNUは、骨髄抑制が強く、またグリオーマ患者の痙攣予防の目的で用いられているフェニトインも、免疫系を抑制するといわれている。そこで前年度は、グリオーマ患者における病態(Karnofsky scale)と、未梢リンパ球からのインターフェロンの産生能を調べたところ、比較的早期よりインターフェロンの産生能が低下しており、脳実質内にある腫瘍から直接あるいは間接的にも免疫抑制が働いている可能性が示唆された。そこで本年は、1)マウスグリオーマトーシスを作製し、そのインターフェロン産生能を調べると、臨床データと同様に、病態早期より分泌能が低下しており、各種BRM薬剤の全身投与でも効果はなかった。2)各抗痙攣剤の免疫機能への影響について正常マウスを用いて調べたところ、フェニトインが最も強く免疫能を低下させており、バルプロ酸ナトリウムが最も副作用が少なかった。しかしいずれの抗痙攣剤も、LAK細胞の抗腫瘍効果に影響を与えなかった。3)悪性脳腫瘍患者29症例に対し、LAK細胞を用いた養子免疫療法を施行したところ、15症例に有効な結果が得られた。治療後44ヵ月という長期生存例もあり、また他人から採取したリンパ球より誘導したLAK細胞の抗腫瘍効果も確認された。以上のデータを基に、グリオーマ患者を治療する場合には、併用薬剤の選択と、局所免疫療法としての養子免疫療法の有用性を十分に検討する必要がある。
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Research Products
(28 results)
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[Publications] Yosida,T.: J Neurosurg. 66. 251-255 (1987)
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[Publications] Shimizu,K.: J Neurosurg. 66. 519-521 (1987)
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[Publications] Yoshida,T.: J Neurooncol. 5. 195-203 (1987)
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[Publications] Yoshida,T.: J Neurol Neurosurg Psychiat.
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[Publications] Okamoto,Y.: Cancer Immunol Imunother. 26. 176-179 (1988)
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[Publications] Okamoto,Y.: Acta Neurochirurgica. 94. 47-52 (1988)
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[Publications] Tamura,K.: Cancer Res.
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[Publications] 吉田達生: 癌と化学療法. 14. 84-90 (1987)
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[Publications] 宮尾秦慶: 癌と化学療法. 14. 490-494 (1987)
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[Publications] 吉田達生: 脳神経外科. 15. 143-149 (1987)
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[Publications] 山田正信: 癌と化学療法. 14. 1890-1895 (1987)
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[Publications] 岡本裕: 医学のあゆみ. 140. 833-834 (1987)
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[Publications] 宮尾泰慶: 医学のあゆみ. 140. 1015-1016 (1987)
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[Publications] 岡本裕: 臨床免疫. 19. 687-694 (1987)
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[Publications] 岡本裕: 脳と神経. 39. 931-936 (1987)
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[Publications] 吉田達生: 脳神経外科. 15. 261-267 (1987)
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[Publications] 吉田達生: 脳と神経. 39. 615-619 (1987)
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[Publications] 田村和義: 医学のあゆみ. 147. 289-290 (1988)
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[Publications] 清水恵司: Biotherapy. 3. 108-112 (1989)
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[Publications] 田村和義: Biotherapy. 3. 210-213 (1989)
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[Publications] 田村和義: フローサイトメトリー.
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[Publications] 山田正信: 脳と神経.
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[Publications] 朴啓彰: 日本癌治療学会誌.
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[Publications] 朴啓彰: 小児の脳神経.
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[Publications] 田村和義: Neurologia medico-chirurgica.
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[Publications] 清水恵司: 癌と化学療法.
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[Publications] 清水恵司: 脳と神経.
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[Publications] Shimizu K: "Brain oncology" Martinus Nijhoff Publishers, 439-443 (1987)