1987 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法(NMR)による幼若ラット脳障害における1H, 31P代謝の研究
Project/Area Number |
62570660
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 悟 神戸大学, 医学部脳神経外科, 教授 (10030850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江原 一雅 神戸大学, 医学部脳神経外科, 助手 (20151996)
藤田 勝三 神戸大学, 医学部脳神経外科, 講師 (60093530)
玉木 紀彦 神戸大学, 医学部脳神経外科, 助教授 (10030941)
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Keywords | 核磁気共鳴法 / 脳エネルギー代謝 / 脳学腫 / 低酸素症 / 発達期 |
Research Abstract |
62年度の研究は, 幼若ラットの核磁気共鳴法によるスピンー絡子緩和時間(T_1時間), スピンースピン緩和時間(T_2時間)の成長にともなう変化と脳水分量の変化との関係, 脳発達特に髄鞘化との関係を調べ, 次いで幼若ラットの浮腫を作製し成熟ラットとの比較を核磁気共鳴法と, 脳水分量の測定の両者で比較した. ^3P核磁気共鳴法によるエネルギー代謝の測定については成犬の低酸素症と正〓の比較を行なった. 脳虚血においては成熟ラットにおいて一側性の脳虚血を測定し経時的に核磁気共鳴法による^1H代謝の測定より, 水分量の変化との比較を行った. (結果)(1)幼若ラットにおいては生后〜8週にわたって水分量が減少し, それにともないT_1時間, T2時間が変化した. 両者はよく相関した. 脳浮腫は幼若ラットにおいて水分量が多い分だけよけいに水分量の変化が強く出現した. 脳虚血としては, 成熟ラットについて一側の脳虚血を田村篤の方法で作製し, 経時的に水分量とT_2時間の測定を行なった. それによると閉塞6時間後には高度梗塞例にのみT_2時間の延長と水分量の増加がみられたが, 12時間後には軽度梗塞群においても水分量の変化とT_2時間の延長がみられた. この遭孔性の水分変化のメカニズムについて今後研究を進める方針である. また, 核磁気共鳴による^3P測定によるエネルギー代謝の測定については, 成犬について, α, β, γATP, クレアチニンリン酸(CrP), 無機リン酸(P), フォスフォダイユステレース, フォスフォモノエステルの7つのピークが検出可能となり, 低酸素犬において20分後にATPはまだ変化が少ないが, Piが上昇し, CrPが下降し酸塩基平衡の変化がエネルギー代謝の変化に先行している可能性が推定された. これらの成犬の脳障害のデーターを次年度は幼若例に応用し, 発達期と成熟期との比較を行う方針であるが, 核磁気共鳴装置は充分に再現性のあるデーターが得られ有用であると考えられた.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 白国隆行, 玉木紀彦, 松本悟: 第9回脳浮腫研究会報告集. 215-222 (1987)
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[Publications] 白國隆行, 玉木紀彦, 児島範明, 松本悟: 中外医薬40. 40(5,6)5,6. 346-350 (1987)
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[Publications] 古瀬繁, 玉木紀彦, 松本悟, 木村充, 朝田雅博, 西崎智之: 厚生省特定疾患・難治性水頭症調査研究班昭和61年度研究報告書. 157-165 (1987)
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[Publications] Tamaki N;Suyama T;Shirakuni T;Matsumoto S: Neurol Med Chir(Tokyo)27. 7. 643-646 (1987)
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[Publications] Kudo H;Tamaki N;Kim S;Matsumoto S: Neurosurgery 21. 21(5). 726-731 (1987)
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[Publications] Nagashima T;Tamaki N;Matsumoto S;Horwitz B;Seguchi Y: Neurosurgery 21. 21(6). 898-904 (1987)
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[Publications] 玉木紀彦, 白國隆行, 松本悟: "中枢神経疾患のMRI" 中外医学社, 東京, PP. 241-258 (1987)
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[Publications] 玉木紀彦, 穀内隆, 松本悟: "臨床薬物治療学大系" 情報開発研究所, 249-268PP. (1987)