1987 Fiscal Year Annual Research Report
実験的頚部総頚動脈におけるdissectionの作成ならびに危険因子の検討
Project/Area Number |
62570661
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上田 伸 徳島大学, 医学部・脳神経外科, 助教授 (10093840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 圭蔵 徳島大学, 医学部・脳神経外科, 教授 (90033050)
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Keywords | 頸動脈壁解離 / 解離性動脈瘤 / 脳塞栓 |
Research Abstract |
家兎総頸動脈に人為的に動脈解離を作成し, これを経時的にsacrificeし, その病態経過と脳動脈解離の経時的組織学的変化を検討した. 【実験方法】静脈麻酔下に体重2.5-3.5kgの家兎の総頸動脈を顕微鏡下に剥離し, 総頸動脈に横切開を加え, 血管内腔を露出し, 対側の血管壁を内腔側より内膜, および中膜筋層下2/3の深さまで横切開を加え, 人為的dissectionの前段階を作成した. その後10-0ナイロン糸で総頸動脈を縫合し, 血流再開後中枢側より用手的に4-5気圧で生理食塩水計80m注入しdissectionを作成した. 動脈解離の確認は術前後の血管写で行った. 組織の採取法はホルマリン灌流後摘出し, ホルマリン固定した. 【結果】家兎55羽に行い, 経時的にsacrificeしたところ25羽45.5%に組織学的にもdissectionを確認した. 1病理組織学的所見:re-entryを形成するようなdissectionでの偽腔内面の組織学的変化は, 動脈解離直後では偽腔内面には, 内皮細胞はなく, 隅角部に血栓を認めた. 1週間目頃より, 内皮細胞の再生が現れはじめ, 約1ケ月で完成した. 一方, 中膜筋層は, 動脈解離作成直後には, 弾性線維の断裂, 中膜筋層内への出血を認めたが, 1週間で出血は消失し, 変わって中膜筋層内にcollagen fiberの増生が認められた. この増生もほぼ1ケ月で完成するようであった. 2.経時的変化:動脈解離はentry zoneのみのものと, 進展してre-entry zoneを形成するものの2系に分かれる. その治癒過程はいずれの場合も剥離層が融解あるいは遊離消失していくものと, 剥離部に血栓形成を生じる場合があり, 前者は血管壁の, 薄化を, 後者は血管壁の肥厚を伴って治癒した. 【結論】血栓形成を伴って治癒していくその過程において, 血栓の一部が遊離し末梢に飛撒する可能性があり, 偽腔が完全に消失するまではembolic factorとなりうることが推測された.
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