1987 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ細胞の膜受容体に基く細胞応答と増殖・分化に関する研究
Project/Area Number |
62570669
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
辻田 喜比古 帝京大学, 医学部, 講師 (50163803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 俊太郎 帝京大学, 医学部, 助教授 (70133072)
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Keywords | トランスフェリン受容体 / 細胞周期 / グリオーマ / 細胞内カルシウムイオン濃度 |
Research Abstract |
細胞の代謝ならびに増殖に関して重要な働きを有しているトランスフェリン受容体はヒトグリオーマにも存在する. 今年度は, 主としてその機能について研究を行なった. トランスフェリン受容体の細胞表面上での発現の変化と細胞周期との関係をフローサイトメトリーにて, 縦軸に抗トランスフェリン受容体抗体を用いて染色したFITCの螢光強度, 横軸にDNA量を示すPIの螢光強度をとって解析すると, グリオーマ細胞ではどの細胞周期においてもトランスフェリン受容体を発現している細胞の存在することが判明した. また, グリオーマ細胞に対するトランスフェリンの作用をDNA合成, RNA合成, 細胞数, 細胞内カルシウムイオン濃度を指標としてみてみた. 鉄飽和トランスフェリンを50μg/ml培養液に投与し, 3H-チミジン, 3H-ウリジンの細胞内へのとりこみを液体シンチレーションカウンターで計測するとDNA合成, RNA合成はトランスフェリン投与後48-72時間には, コントロールと比較して有意に増大することが明らかとなった. 次いで, 細胞内カルシウムイオン濃度をQuinIIを指標として螢光スペクトロメーターで計測すると, トランスフェリン投与後数秒にてイオン濃度は有意に増加することがわかった. 異常のことより, グリオーマ細胞はトランスフェリン受容体を合成するばかりでなく, 鉄飽和トランスフェリンの存在下では, 細胞内カルシウムイオン濃度の増加, DNA合成, RNA合成の亢進など, 活発な代謝活動を示すことが明らかとなった.
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