1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62570675
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
宇田川 英一 群馬大学, 医学部, 教授 (70009976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千木良 正機 群馬大学, 医学部, 助手 (70143196)
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Keywords | 燐蛋白質 / アルカリフォスファターゼ / 骨芽細胞 / クローン / 燐酸化 / 石灰化 |
Research Abstract |
無蛋白質培養液よりCMセファデックス, DEAEセファクルリ等のカラムを用いて燐蛋白質の分解を行なった. 骨肉腫クローンの生産する燐蛋白質はポリアクリルアミド電気泳動上で少なくとも3種あることが確認された. これら蛋白質のうち, 分子量約6万のものはCMセファデックスに吸着せずDEAEおよびAFFI, GELカラムに吸着し, 単離に成功した. この燐蛋白質はハイドロキシアパタイトと非常に強く結合した. この分子にはアルカリフォスファターゼ活性およびホスホセリンフォスファターゼ活性があり, 骨芽細胞由来の特異的アルカリフォスファターゼと同一分子と考えられた. 分子量約1万の燐蛋白質は電気泳動上の染色ではもっとも燐酸化の程度が高く, 現在までに知られていない燐蛋白質と考えられた. シアル基を染色しても染色されない事実からオステオカルシンとは異なる分子と考えられた. 分子量約3万2千のものについては現在その性格を検討中である. 次に骨肉腫クローンの細胞壁に存在する燐蛋白質を分離, 精製するとともに, これらの蛋白質と分泌された燐蛋白質との異同について検討した. 電気泳動上では分子量約6万と1万の蛋白質が分泌液, 細胞壁内ともに認められた. これら以外に細胞壁は少なくとも8種の燐蛋白質を含んでおり, 細胞壁の構成蛋白質として重要と考えられた. これらの結果から分子量6万と1万の燐蛋白しが骨芽細胞に特異的なものと考え, その機能について検討中である. 現在までの推論としては分子量6万の蛋白質が持つアルカリフォスファターゼ活性によって分子量1万の蛋白質が燐酸化され石灰化が形成されるとの仮説を得ている. これらの蛋白質がコラーゲン(実際にはゼラチンを用いている)と結合する傾向を有することは石灰化の過程において興味深い.
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